年間約4億5,000万台の携帯電話を販売するNokiaにとって、イノベーションは大きなテーマだ。競争が激しくなる中、携帯電話にとどまらないイノベーションを奨励し、ビジネスに変えていく必要がある。Nokiaが9月23日から2日間、フィンランド・ヘルシンキ郊外にある本社で開催した「The Way We Live Next 2008」で、Nokiaの戦略・事業開発担当トップのTeppo Paavola氏がビジネス戦略について語った。

Teppo Paavola氏

Paavola氏が率いる戦略・事業開発部門は、今年行った大規模な組織改革で新しく誕生した事業部だ。これまで、デバイスなどさまざまな部門で事業開発があったが、1つにまとめることになった。「Nokiaが世界最大の携帯電話メーカーとなったのは、フォーカスした執行力があるから」とPaavola氏。逆に見れば、フォーカスしていないものは、十分なサポートが得られないことになる。ソフトウェア/サービス分野にシフトしていくにあたり、ビジネスにフォーカスする部門が必要と考えたためだ。

Paavola氏は「事業部の最大の目標は、新しい収益の流れをつくること」という。さまざまなツールを用いたプロセスとなり、事業開発と技術の2つのチームが研究開発など社内から出されたアイディアをビジネスプランにする。ここでは、デモ、プロトタイプ作成、買収や提携などの事業開発活動が含まれる。これにより、アイディアはビジネスプログラムへと進化する。

新事業を開発するための方法としては、社内のアイディアを待つ以外に提携もある。戦略・事業開発部門には提携専門のチームがあり、パートナー関係を組んで、Nokiaのコア事業から拡大して新しい収益を生むための提携を探っている。主な提携先は、ITやインターネット企業などが多いという。

ビジネスプランにゴーサインが出たら、ビジネスにしていくため、ビジネスオーナーを割り当てる。Nokiaのような規模の企業が新たに小規模なプロジェクトを運用し、Nokiaの太い収益パイプを適用すると、規模のないプロジェクトは持続できなくなる。オーナーを持たせることで、このような事態を避ける。

別のメリットもありそうだ。オーナーが新しいビジネスプログラムを独立して指揮することで、仮想的にベンチャー環境がある程度実現できる。「大企業に新しいことができるのか? 迅速に動けるのか? - 起業家特有の柔軟性とスピードを持ちながら、Nokiaであることのメリットを享受できるよう連携していく」とPaavola氏。

典型的なビジネスプログラムは30人程度で構成され、執行に関する決定もプログラムレベルで行われるため、迅速に動くことができるという。ビジネスプログラムの多くが外部の企業と協業するが、外部企業の人的リソース、財務支援などの資産を組み合わせることで、興味深いものがうまれてくる。