10月8日、パナソニックが主催するイベント「Panasonic PC Stage 2008」が開催された。同社製品のPRのほか、各界著名人らによる講演も行われるなどプログラムも充実しており、中でも作家であり、政府税制調査会委員、地方分権改革推進委員会委員、そして現在は東京都副知事を務める猪瀬直樹氏による基調講演に注目が集まった。

10月8日-9日に東京のパナソニックセンターで開催されたPC Stage 2008では、猪瀬 直樹氏の講演のほか、パナソニックのレッツノートを中心とした講演やトークセッションが行われた

夏のダボス会議に出席

会場へ着くとすでに満員状態。ようやく空席を見つけ予定時刻になると、壇上に猪瀬氏が登場した。「一週間前に中国の天津で開かれた夏季ダボス会議へ行ってきました。スイスで冬に行われるダボス会議でもそうですが、ここでは完全に化石燃料からの脱却がテーマです」と語り始める同氏。スイスのダボス会議は世界中の政財界のトップが集まることで知られており、正式には世界経済フォーラムの年次総会の意味合いを持つ。夏季ダボス会議は新興企業などが集まる年次総会として開催され、この会議において環境対策の先進としての"東京"をアピールするため、東京都副知事である猪瀬氏も会議に赴いたといういきさつがある。

「太陽光パネル、燃料電池、車でいえばトヨタのプリウスのようなハイブリッドカーといったような方向へ移行する大きな流れがダボス会議で話し合われました。これからは世界の産業構造も地球温暖化緩和へ向けてどのように取り組むか、低炭素型社会を実現してゆくにはどうしたらよいのか、といったメッセージが投げかけられているのです」と猪瀬氏は語る。

「イギリスのロンドンでは都心に入る時に渋滞税として8ポンドを支払わせていますが、トヨタのプリウスは無料です。インセンティブをつけているところがミソで、早く環境対策モデルへ切り替えなさい、とメッセージをこめているのです」と、イギリスのロンドン市が取り組む環境モデルのエピソードを披露。ヨーロッパ諸国のガソリン税が年金に使われている例なども挙げながら、旧来の考え方をなかなか変えられない日本の制度の現状を分析した。

米国はいま金融危機を迎えているが、一方で太陽光発電システム導入時の税額控除期間の延長などを含んだ再生可能エネルギーの利用促進案を可決するなど、積極的な法整備を続けている。「日本は太陽光パネルの生産において約50%のシェアを持っていました。しかし、現在は約25%に縮小しています。これを見ても日本は時代の転換期を迎えていることについての認識が足りないといわざるを得ません」と猪瀬氏。「トヨタのハイブリッド技術、パナソニックの燃料電池など、一部の企業では頑張っていると思いますが、他の日本の企業も太陽光パネルなどについてこれからもっと取り組んでいかなければならないでしょう」と続けて同氏は語る。