【レポート】
東京都は2020年までに温室効果ガスを25%削減するという目標を立てている。「この目標数値は1300か所の大規模事業所に対して義務付ける条例を立てました。東京都の場合はこのほとんどがオフィスビルになります。世界中の人間のほとんどは都市に住んでいますから、都市がこういったものを設定しないと話は進まないのです」と猪瀬氏。これが同時にビジネスチャンスになると同氏は分析している。「これから新しいビルを建てるということになれば、新しいエアコンを入れなければならないのです。ボイラーや空調施設を地下に入れる技術や、燃料効率のよい機器が必要なのです」と同氏。新しい技術や機器を売る機会になるため、いち早く環境問題に取り組んでいるほうがビジネス上でも有利に働く、ということになる。
東京都が2016年の夏季五輪誘致活動をしていることは知られているが、この理由についても猪瀬氏は「実は五輪誘致も環境問題に取り組むというメッセージがこめられています。例えば、ゴミ埋立地を森に変えるということもやっています」と語る。これは中央防波堤内側のゴミ埋立地にシイノキなど48万本を植える計画で、建築家の安藤忠雄氏の発案のもとに進められている計画だ。
このほか、東京の並木道を拡大する計画や、東京都の学校の校庭をすべて芝生にするなど、様々な構想が練られている。こうした計画を実行することによって、海風を呼び込みヒートアイランドを防止することができるとしている。
また、五輪誘致が成功した場合、選手村に太陽光発電を用いて緑化も進められる。こうした設備の整った各施設も五輪開催後は民間に開放するなど、無駄な箱ものが出ないように計画されている。それだけでなく、羽田と成田で滑走路の新設や延伸が行われることや、首都高速中央環状線などのインフラも拡充される見込みとなっている。五輪誘致に伴うこれらの構想が実現すれば、渋滞の緩和やCO2の削減も期待できるというわけだ。
「1964年の東京オリンピックでは、首都高速や新幹線などのインフラが急速に発展しました。これは高度成長期と重なる時期に開催される発展途上国モデルでした。2012年のロンドン、そして2016年の東京、いずれも成熟した都市によるオリンピックモデルが実現すれば、より環境問題に対するメッセージは強くなるはずです」と猪瀬氏。地方分権を強く主張することにより東京都が先陣を切る形で進められている先進国としての都市環境モデル。東京都が世界に高く主張できる環境にやさしい都市となるには、行政だけでなく企業もこの課題に取り組む必要があるといえるだろう。
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