USB 3.0と同時にUSB-IFが普及に努めているのがWireless USBだ、という話は昨年のレポートにもまとめた通り。昨年の時点で既にWireless USB 1.1の話は出ていたが、大枠から言えばここから一歩も先に進んでいない状態である。強いて言えば、昨年はまだWireless USB 1.1はあくまでSpecificationのみの段階だったが、今年は動作するSiliconが展示されているあたりが大きな違いか。そんなわけでまずは展示物を紹介したい。

DisplayLinkとWireless USB 1.1

今年はWirelessUSBにDisplayLinkDL-120/DL-160を組み合わせるというSolutionがトレンドのようで、実際USB-IFでのRoundtableの会場には、Wireless USBでキーボード/マウスとディスプレイを繋ぐ(Photo01,02)といったデモが行われており、またShowcaseではこれに加えてプリンタやらXbox 360やらまで繋ぐといったデモが行われていた(Photo03)。

Photo01: 電話はホテルの部屋に備え付けのものなので無関係。

Photo02: こちらがDisplayLinkのチップを搭載したWireless USB Hub。どうせならばWireless USB内蔵液晶モニターを使えばよりスマートだったのだろうが。

Photo03: Xbox 360そのものは勿論Wireless USBに未対応であるが、Xbox 360の上におかれた薄いものがWireless USBのDisplay Adapterで、これを使ってモニターに映像を飛ばしている。

さて、Wireless USB搭載デバイスは様々なメーカーが手がけているが、Wireless USB用のチップを出しているベンダーとなると割と限られる。そうした中で一番鼻息が荒かったのがalereonである。同社のブースでは様々なリファレンスデザインを公開しており(Photo04~08)、なかなか意欲的である。

Photo04: Display Adapterの高機能版。どこが高機能かというと、DisplayLinkのチップとは別にAudio Codecも搭載しており、音声入出力をサポートするあたり。USB Hubの機能も搭載。

Photo05: Display Adapterの普及版。音声CodecやUSB Hubの機能が省かれ、その分ちょっとだけ小型。

Photo06: Mini-PCI Express準拠のWireless USB Adapter。上が片面実装のフルサイズ、下が両面実装のハーフサイズ。

Photo07: Express Card(左)とUSB 2.0(右)接続のWireless USB Adapter。

Photo08: 汎用パッケージに搭載されたもの。実際のWireless USBデバイスなどはこれをリファレンスとすることになる。

同社によれば、そもそもWireless USBがLaunchしそこなった理由は「第1世代の製品の場合、理論値はともかく、実際の性能が低すぎた」のが最大の問題だとしており、「でも第2世代では大幅にパフォーマンスアップして、実効性能も上がったから今度は大丈夫」とあくまで強気。1.1への対応についても、「我々は現行製品で既にBand Group 6への対応は済んでおり、直ぐにでもいける」(Photo09)としており、会場では実際にBand Group 6対応製品を使って(Photo10)、160~180Mbpsの転送が行える事をデモしていた(Photo11)。

Photo09: alereonのブースに展示されていた、Band Groupの一覧。実に判りやすいというか、USB-IFの資料に入れて欲しいほど。

Photo10: Wireless USBのプロパティ。Band Group 6を明示的に指定しての接続を行っている。

Photo11: 何度か行うと、最大186Mbpsのスコアが。まぁこの会場では至近距離で複数のベンダーが様々なWireless USBデバイスのデモを行っている(=電波干渉しまくり)という悪条件だから仕方がないかもしれないが、割と至近距離での通信でも結構転送速度が揺らぐのが判る。