今年の11月で16年目を迎える総合格闘技イベントUFCを、2001年から運営してきたのがロレンゾ・フェティータがオーナーを務めるズッファ社。ロレンゾのハイスクール時代の同級生でもあるダナ・ホワイトがズッファ社の社長となり、それまで規模を縮小させたUFCを二人三脚で拡大させ、170カ国で視聴されるほどの巨大な総合格闘技団体へと成長させた。特にダナは、PRIDE絡みで来日した際に過激な言動で注目を集めたが、全米ではメディアが常に追い回すなど、何かと話題を提供している存在だ。そんな2人に直撃し、UFCの今後や気になる日本での興行などを聞いてみた。

ロレンゾ・フェティータ(右)とダナ・ホワイト

――まずは、UFCの魅力についてお聞かせ下さい。

ロレンゾ・フェティータ(以下、ロレンゾ) : 「UFCの優れた点の1つは、どんな文化や国においても理解されるという点が挙げられると思う。UFCは170カ国でテレビ放送され、3億世帯以上の家庭で視聴されているんだ。その理由は、総合格闘技の中で一番優れた選手がUFCに所属しているからだろうね。UFCは話題性が先行するカードは決して組まない。最高の選手だけが上がれるステージなのだから」

ダナ・ホワイト(以下、ダナ) : 「そう。どの国の出身で、どの言語を話し、どの人種に属していても、我々はみな人間。人類は戦うことが大好きなんですよ。闘争本能は我々のDNAに組み込まれていて、それは我々の属性のひとつだよね。そういった戦いを見られる点が、UFCの一番の魅力だね」

金網で囲まれたリングでガチンコ勝負が繰り広げられるUFC

――UFCを拡大できた秘訣は?

ロレンゾ : 「ビジネスが本当にうまく行き始めたのは、スパイクTV(18~34歳を主要の視聴者層としたケーブルテレビ局)と契約をしてから。アメリカ国内の1億世帯の家庭で視聴可能なスパイクTVと契約できたことは非常に重要だった。それによってUFCが世間に知れ渡ったからね。UFCブランドが浸透し、選手たちも有名になった。そこからビジネスが急成長したんだ」

ダナ : 「いろいろな理由が挙げられるよ。まずはUFCがMMA(総合格闘技。Mixed Martial Artsの略)界で最高にパワフルなブランドだということ。2つ目は、我々が非常にいいビジネス戦略を立てたこと。そして、UFCは世界一エキサイティングなスポーツだということ。格闘技としてだけでなく、あらゆるスポーツの中で世界一エキサイティングなスポーツなんだ。イベントとしてのあらゆる魅力にあふれているし、何より選手たちが素晴らしい試合をしてくれたことも大きな要因に挙げられるね」

元々はアマチュアボクサーだったというダナ

――UFCはアメリカでどのぐらい認知さているのでしょうか?

ロレンゾ : 「アメリカでは今年、700万件近くのPPV契約を上げるでしょう。これはアメリカにおけるPPVの歴史で一番の数字。もはやWWE(アメリカで大人気のプロレス団体)をも凌駕している。カナダでもそれまでの最高記録だったマイク・タイソンvsレノックス・ルイス戦のPPV契約記録を抜いたからね」

ダナ : 「スパイクTVでの視聴率でも、NFL以外のメジャースポーツの視聴率を抜いた。アメリカとカナダで今の成功を保つことは簡単だけど、我々はMMAを世界中に広めたいんだ。世界中のテレビネットワークで放送されるようにしたい。MMAがサッカーのように地球規模のスポーツになるまで、我々は『本当に成功した』とは感じないだろうね。そして最終的にはオリンピック競技にもしたい」

――総合格闘技が盛んな日本の印象についてお聞かせ下さい。

ロレンゾ : 「日本にはMMAの歴史があり、伝統的な素晴らしい選手もいるよね。ヨシダ(吉田秀彦)、サクラバ(桜庭和志)、ゴミ(五味隆典)、サクライ(桜井"マッハ"速人)……。だから、日本でUFCを開催することは極めて重要で、UFCの選手が日本で戦うことは、非常に名誉なことだとも思う。そんな日本に多くの格闘技ファンがいるというのに、今、UFCの最高の試合を見られないのは非常に残念なこと。だから、ヴァンダレイ・シウバや"ランペイジ"・ジャクソン、アンデウソン・シウバらPRIDEでも戦っていた最高の選手たちを、UFC日本大会に連れて行きたい。日本のファンに、是非とも生で見て欲しいね」

ダナ : 「PRIDEは日本で非常に大きなブランド。大成功し、多くのスーパースターも生れたよね。日本はMMAを他のどの国よりも、早く理解している。MMAの技術も含め、日本人は本当にMMAのことを分かっていると思う。以前、日本の格闘技雑誌を見たんだ。文字は読めなかったけどMMAの紹介の仕方にいつも感心していたよ。日本のファンは世界一MMAを理解しているファンだね!」

非常にクールで紳士的なロレンゾ。日本的で言えば"チョイ悪"風

――それでは日本で開催される可能性もあるわけですね?

ロレンゾ : 「我々のビジネス戦略で最も重要なのは、2009年に東京で開催すること。私たちがアメリカで作り出した最高のイベントであるUFCを、日本に持って行きたいんだ。来年の春ぐらいには開催したいね」

ダナ : 「WEC(ズッファ社が所有している軽量クラスのイベント。体重約68kg以下)を日本で開催すれば大成功するだろうね。日本には軽量級に優れた選手がたくさんいるから。ユライヤ・フェイバー(現WECフェザー級王者)に山本"KID"徳郁と試合をさせたいね」

――日本人選手では誰に出場して欲しいですが?

ロレンゾ : 「ゴミにはUFCに出場して欲しいですね。BJ・ペン(現UFC世界ライト級王者)とかジョルジュ・サンピエール(現UFCウェルター級王者)と組ませたい。今、ゴミは時間を無駄にしていると思うよ。ゴミの階級で最高の選手はUFCにいるわけだから。本当に自分が最強であることを証明するには、UFCで最高の選手たちと戦う必要がある。これはUFCからゴミへの挑戦だよ」

ダナ : 「石井慧のような選手はUFCに出るべきですね。柔道やレスリング選手が進むべき道がUFC。子どもの頃から柔道やレスリングをしていれば、非常に強いファイターになる」

ロレンゾ : 「石井にはブロック・レスナーとやらせてみたいね」

――最後に、UFCの今後の展開についてお聞かせ下さい。

ロレンゾ : 「ここ2年、UFCはイギリスで大会を行い大成功を収めました。来年はイギリス以外の欧州の国でも開催したい。UFCは、現在世界展開について動き始めている。オーストラリア、韓国、そしてフィリピンにドバイ。日本でも是非開催したいね」

ダナ : 「我々は国際展開をすごく考えていて、日本でも大会を開きたい。PRIDEを買収して紆余曲折あったから、日本に行かないわけにはいかないよ。UFCは日本で大会を開くべきだし、我々はそうする。WECも日本で開きたいね」

「日本に行ったらレストランの『ハマ』(ステーキハウス)に行ってみたいね」目を輝かせる2人

WOWOWでは、UFCの試合を放送中。10月19日には『UFC89 ミドル級マイケル・ビスピン×クリス・レーベン』(を、11月16日には『UFC91 ヘビー級タイトルマッチ ランディー・クートゥア×ブロック・レスナー』(23:50~)をおくる。なお、「UFC IS BACK! ~UFC名勝負選~」と題して、これまでの名勝負を厳選して放送している。詳しい放送スケジュールはこちら

撮影:NAOKI FUKUDA