【レポート】
携帯サービス契約者のモバイルデータ通信ニーズの増大により、3.5Gおよび4Gの基地局導入に向けて迅速に移行することが必要とされている。
こうした次世代基地局のアーキテクチャとしては、複数のベースバンド・カードを支える高帯域なバックプレーンが求められる。また、ベースバンド・カード側では、高帯域処理機能を果たすべくマルチコアDSPのクラスタが必要となる。
DSPのパフォーマンス向上に対応するため、複数のDSPを相互接続する高帯域のリンクが必要になるとともに、ボード設計を容易にするために配線の数をできるだけ減らすことが求められる。Serial Rapid IO(sRIO)に対応したセントラル・パケット・スイッチ(CPS)製品は、ポートとリンクの最も幅広い組み合わせを提供し、モジュラーな基地局アーキテクチャにおける拡張性確保を容易にすることが可能だ。
過去数年にわたり、インターネットのトラフィックは固定・モバイルアクセスの双方で大幅かつ急速に増加してきた。
モバイルアクセスでは、最近の3GスマートフォンおよびPDAタイプの機器の需要増加で、企業向け市場からのモバイルデータトラフィックがますます増えようとしている。
一般的なコンシューマ分野では当分、データトラフィック増大の最大の促進要因となるのは動画の視聴および共有のためのダウンロードだろう。これにより、より豊かなメディア体験を欲するユーザーからの、アクセスの高速化とダウンロード時間の短縮化に対する要求が高まり、サービスプロバイダは既存の無線インフラに、より容量の大きい3.5Gおよび4Gの基地局を追加していくことが求められていくこととなる。
3.5Gおよび4Gの基地局アーキテクチャにおいて、データレート能力と基地局あたりのユーザー収容能力の向上の必要性は、無線カードとベースバンド・カードの間のバックプレーン速度向上の必要性につながる。全般的な帯域幅向上はさらに、ベースバンド・カード上で一般的なクラスタ構成によって相互接続されるマルチコアDSPの増加につながる。
システム帯域幅の向上に対応するとともに、限定されたボードサイズに収容できるよう相互接続用の配線数を減らすため、sRIOがベースバンド・カード・アーキテクチャにおける標準プロトコルとして浮上する。
sRIOはオープンな標準で、パケットにおけるオーバーヘッドが少ないため高帯域幅での効率に優れる一方で、分かりやすいピア・ツー・ピアのサポートを備えている。この組み合わせは、ベースバンド処理における複数DSPのサポートに最適である。
sRIOに対応したDSP、ASSP、FPGAがますます増加し、高パフォーマンスで高コスト効率の、次世代基地局向けのモジュラーソリューションに対する健全なエコシステムが形成されている。sRIOのような標準プロトコルを用いることで、基地局のアーキテクトや設計者は大きな柔軟性を手にすることができるようになった。
どのような無線インフラの場合でも、サービスプロバイダにとってユーザーの帯域幅需要に対し、どのようにコスト効率よくフィールドに適切なシステム帯域幅能力を導入して対応していくかは大きな課題である。
成功する基地局ベンダはプロバイダに対し、容易に拡張できる、モジュラーな共通基地局アーキテクチャを提供し、WCDMA、LTE、WiMAX、CDMA2000といった複数のテクノロジにまたがる適用を推進していくだろう。
基地局アーキテクチャにおける拡張性、モジュラー性、再利用性は特に、ベースバンド・カード上のDSPの数の違いやベースバンド・カードの種類を超えた、柔軟性の高いsRIO相互接続ソリューションの必要性につながる。典型的なベースバンド・アーキテクチャは、複数のDSPと、制御プロセッサ、場合によってはFPGAのような要素の間の集線ポイントとして、単一のsRIOスイッチを備えている。
複数のベースバンド・カードが存在する場合、別のスイッチと接続しているかもしれず、その別のスイッチもsRIOであることが考えられる。現行のsRIOバージョン1.3の実装は、ポート単位で、1xあるいは4xのレーン構成を、レーン速度1.25Gbps、2.5Gbps、3.125Gbpsでサポートしている。
基地局アーキテクチャのシステム帯域幅およびユーザー収容能力の目標によって、各種レーン速度の1xレーン・ポートと4xレーン・ポートの組み合わせ方は大きく異なる。1xから4xのレーンを1.25Gbps、2.5Gbps、3.125Gbpsのレーン速度で構成する使い方が一般的だが、これらは最終的に、sRIOバージョン2.0がサポートする5Gbpsおよび6.25Gbpsのレーン速度に移行することとなるだろう。
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第1世代CPSは1xポートを多数必要とするニーズに対応(IDTのCPS製品第1世代となる「CPS-16」「CPS-8」はボードレベルでのDSPクラスタに最適化されている。主要な機能は、バックプレーンスイッチあるいは直接複数のRFカードに接続できるバックプレーン・インタフェース) |
sRIO対応のCPSを使うことで、アーキテクチャの再活用はさらに簡単になる。sRIOスイッチのCPS製品群は、現在利用できるポートとリンクの相互接続の組み合わせに幅広く対応し、4G、3.5Gから標準的な3Gのアーキテクチャまで、すべての用途をカバーしている。
IDTのCPS製品群とプリプロセッシング・スイッチ(PPS)製品群を組み合わせることで、複数の1xおよび4xレーン構成に8~40ポートまで対応する7種の異なるsRIOプリプロセッシング/拡張スイッチを実現することができる。
CPS製品としてIDTでは、消費電力とパッケージサイズが最小(19mm×19mm)のsRIOスイッチ「CPS-8」を提供する一方、帯域幅の広い、拡張性の高い10ポート/4xレーンのソリューション「CPS-10Q」も用意している。10ポート/4xレーンの構成を用いて、設計者やアーキテクトは2つのCPS-10Qを用い、フルに16ポート/4xレーンの構成まで拡張することができる。
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第2世代CPSは4xポートを多数必要とするニーズに対応(IDTの第2世代製品「CPS-10Q」「CPS-6Q」はボードレベルのDSP/ASICクラスタあるいはモジュール・レベルの分散処理に最適化されている。物理レーンは3.125Gbps、2.5Gbps、1.25Gbpsのいずれにも構成でき、すべてのレーンは独立して短距離接続、長距離接続のいずれにおいても動作する) |
IDTのCPS製品群は多数の独自機能や能力を備えており、sRIO相互接続ソリューションにおける選択肢の1つとなっている。
CPSおよびPPS製品群では、拡張SerDesクアッドが用いられ、設計者が用途に合わせて適切な数の1xおよび4xレーンを選択できるという柔軟性を実現している。
もう1つの有用な機能はポート単位のパケット・トレース機能だ。パケット・トレースではユーザーが選択したターゲット・ポートにおけるデータストリームを傍受することができ、開発時およびフィールドでの診断に役立つこととなる。トレース機能で識別したパケットは、ユーザーの要件に応じて、ミラーリング、フィルタリング、消去ができる。
さらに、CPS製品群は、19mm×19mmの小型サイズでありながら、クラス最高の電源消費性能およびアイ・ダイヤグラム性能を備えている。CPSとPPSは19mm×19mmおよび27mm×27mmのパッケージでピン互換に標準化されており、アーキテクチャのニーズが変わるとともに簡単に製品の交換が可能である。
また、評価や開発を容易にするため、CPS製品群はATCAおよびmicroTCAのハードウェア・プラットフォームで提供され、いくつかのソフトウェア開発ツールでサポートされている。CPSおよびPPSにはデバイスアクセスドライバ、GUI、APIが備わっている。
IDTは無線インフラ市場に向け、プリプロセッシング/拡張スイッチングに加え、バッファリングおよびプロトコル変換のソリューションを提供しており、sRIOメモリバッファ、およびsRIOからCPRI、TDMからCPRIへのプロトコル変換を提供するFIC(ファンクショナル・インターコネクト・チップ)製品を、市場に投入したベンダである。ベースバンドからラジオカードまでエンド・ツー・エンドのsRIO ASSPを提供しているのはIDTだけである。
PDAやスマートフォンといったモバイル端末の利用の増加で、マルチメディア・インターネットアクセスの比率が高まり、モバイルデータトラフィックを急増させていることは事実である。
また、この継続的なデータトラフィックの増大により、帯域幅ニーズの上昇に対応できる次世代基地局の導入が求めていることも事実である。
このため、次世代基地局はマルチコアDSPのクラスタを、より高いベースバンド処理能力を備えたsRIOによって接続しなければならない。IDTのCPS製品は、モジュラーな基地局アーキテクチャにおける容易な拡張を可能にする、最適なスイッチング・ソリューションを提供するはずである。
著者プロフィール
Ron Jew(ロン・ジュー)
米Integrated Device Technology(IDT)のフロー・コントロール・マネジメント部門のプロダクト・マネジメント・ディレクター。主に無線インフラ関連製品について、新製品のコンセプト、仕様定義、開発、そして事業の戦略的方向性の定義やカスタマー・リレーションを担当している。
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