【レポート】

情報通信法でヒアリング、放送用周波数の用途巡り意見別れる - 総務省

    斉藤永幸  [2008/10/02]

    放送と通信の融合に必要な法制度について議論する「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」は9月26日に会合を開き、関係企業からの意見ヒアリングを行った。比較的支持されている伝送設備に関するヒアリングだったが、放送用周波数の用途に関し、現状維持派の民放連と、制度の柔軟性を求めるソフトバンクモバイルなどの間で意見が別れた。

    民放連は「他の用途に利用すべきでない」

    同検討委員会は、9月の初めにこれまでの議論を踏まえた中間論点整理に対するパブリックコメントを反映させた検討アジェンダを発表。今回は、同アジェンダに対する各企業のヒアリングを行った。

    今回、ヒアリングの対象となったのは、KDDI、ソフトバンクモバイル、スカパーJSAT、日本民間放送連盟(民放連)、日立製作所の5つの企業・団体。このうち、表明した意見の内容に対照的だったのがソフトバンクモバイルと民放連の意見だ。

    民放連は、まずレイヤー型の法体系への転換に対する反対を改めて表明。その上で、放送用・放送事業用の周波数の現状の説明を行った。放送用のチャンネル周波数では、干渉妨害を受けることなく、国民に放送を受信してもらうという「受信者保護」の観点を強調。放送用の周波数は、基幹放送である地上放送の安全性・信頼性を担保するために、他の用途に利用するべきではないと表明した。

    また、通信との連携型サービスの例であるダウンロードサービスなども、「現行制度の枠内で実現が可能」と発言。「制度上の制約があるために放送と通信の連携サービスができないわけではない」とした。

    ソフトバンクモバイルは「簡易な手続きで用途変更を」

    これに対しソフトバンクモバイルは、ブロードバンドの普及に伴い、放送と通信の技術的な垣根がなくなっていると指摘。国民が多様なサービスを享受できるようにするため、すでに割り当てられている放送用の周波数についても、簡易な手続きで用途を変更できる制度が必要とした。

    さらに、トラフィックの少ないエリアや時間などを利用し、放送を配信しておいて、携帯電話などにコンテンツをためておくサービスも可能であると述べた。

    また、特定基地局の開設においても、迅速にサービスを展開するため、携帯電話と同様の開設計画の認定制度が望ましいとした。

    一方、KDDIは別の立場を取った。「通信か放送かの区分にとらわれない新しいサービスを可能とする制度について検討することはありがたい」としながらも、「すでに現行の法制度を基にさまざまな整備を行ってきた」と発言。「新しい制度によってこれまでの取り組みがやりにくくならないようにして欲しい」との意見を表明した。

    また、制度の検討にあたっては、「国際法規との整合性を十分に考慮し、諸外国から日本が孤立しないようにするべき」など比較的慎重な意見を述べたことが印象的だ。

    放送業界と通信業界では、それぞれ立場が異なる。放送業界には保守的な傾向があり、ソフトバンクモバイルは、事業を迅速に展開するための柔軟性を求めた。しかしKDDIが慎重な意見を述べるなど、同じ通信業界でも根本的な部分で意見が異なっている。

    比較的支持されている伝送設備の意見でさえ、こうした異なる意見が出てきている。次回のコンテンツ規制に関するヒアリングでは、今回以上に意見が分かれることが予想されている。今後はヒアリング内容を踏まえて議論を進めていくことになるが、各業界・企業間の調整は難航しそうだ。

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