マイクロソフト コンシューマー&オンライン マーケティング統括本部 モバイルコミュミケーション本部 本部長の越川慎司氏

マイクロソフトは、同社の新年度(2008年7月)より新たな経営計画の実行段階に入り、一般消費者向けの分野では、社内にコンシューマー&オンライン事業部を設け、PC、携帯電話、オンラインサービスなどをそれぞれ担当する各部門を統合した。PC向けの事業をそれだけで完結させるのではなく、携帯電話やテレビといったPC以外の情報機器でも同じようなサービスを利用できるようにしていくなど、一般コンシューマー向けの取り組み強化を明確に打ち出している。

これに伴い、携帯電話OSのWindows Mobileについても、「モバイルコミュニケーション本部」を立ち上げ、コンシューマー向けの強化を打ち出す。同本部長に着任した越川慎司氏に、新体制のねらいと今後投入していく施策について聞いた。

「コンシューマー重視」を全世界で推進

「コンシューマー重視」の旗印は、マイクロソフト日本法人が単独で掲げるものではない。この春に米国本社で「Consumer & Online International」(COI)と呼ばれる組織が設立されたが、Windows Vistaを中心としたPC向け製品、Windows Mobileによるモバイル製品、Windows Liveとして提供していたオンラインサービスを、COIというひとつの傘の下に入れることで、コンシューマー向けの新製品やサービスをより効果的に提供していこうとする、同社がワールドワイドで推進する動きに沿うものである。

また、日本法人ではこれまで「モバイル&エンベデッドデバイス本部」がWindows Mobileを担当しており、組み込みOSのひとつとして取り扱われていたが、モバイルと組み込みを組織としても分離したことからも、エンドユーザーを強く意識しているのが伺える。

「現在はビジネスユーザーやパワーユーザーという、どちらかと言えば限られた市場で普及しているところを、今後はコンシューマー全体のエリアに広げていこうという動きの現れであるととらえていただければと思います。これまでコンシューマー層でWindows Mobileを使っていただいているのは、PC利用のリテラシーが高く、携帯も2台以上持っているような、ピュアなコンシューマーとは一線を画す方々が中心で、市場も"何百万台"という単位でした。現在日本には"1億"の携帯電話契約数がありますが、そこへ飛び込んでいくというのが新年度の目標になります」(越川氏)

ユーザー層が広がりつつあるとはいえ、やはりWindows Mobileユーザーの中心はパワーユーザー、あるいはビジネスユーザーだ。マイクロソフトでは、国内のWindows Mobileスマートフォン所有者のうちおよそ半数が、従来の携帯電話と使い分ける「2台持ち」ユーザーであると見ているという。しかし、iモードに代表される独自サービス網や「おサイフケータイ」など、日本の携帯電話に独特の機能をWindows Mobile上で利用するのは、セキュリティ上の理由などで現時点では難しい。同社としては「Windows Mobile1台持ち」ユーザーを増やしていくことを意識しているのだろうか。