TVアニメ『タイタニア』は、田中芳樹氏の同名小説を原作とするスペースオペラ大作。NHK・BS2にて、10月9日から毎週木曜23時32分からの放送で、全26回を予定。星間都市連盟を舞台として、一大帝国の命運を握る要人たちの葛藤を描く。

『タイタニア』メインビジュアルから。ヴァルダナ帝国を支配するタイタニア一族の興亡が描かれる

監督は『宇宙戦艦ヤマト』『超時空要塞マクロス』『銀河英雄伝説』といった大作アニメを代表作に持つ石黒昇氏。キャラクター原案には原作小説のイラストを手がけ、『超時空要塞マクロス』では石黒監督を支えた美樹本晴彦氏が参加していることでも大きな注目を集めている。

このほかにもマクロスシリーズと『銀河英雄伝説』に縁を持つメインスタッフが名を連ねており、チーフディレクター・メカニックデザインに『マクロス7』でメカ作画監督を務めた伊藤浩二氏、同じくメカニックデザインに歴代マクロスシリーズでデザイナーとして関わり続ける宮武一貴氏、音響監督に『銀河英雄伝説』の明田川進氏など、腕利きのスタッフが顔を揃えている。アニメーション制作は石黒監督が代表を務めるアートランド。

次期藩王候補のひとり、ジュスラン・タイタニア。タイタニアのなかでは良識的な人物とされる。担当声優は岸尾だいすけ

天才的戦術家、ファン・ヒューリック。その才能を買われ、なりゆきでタイタニアと相対することに。担当声優は小西克幸

次期藩王候補のひとり、アリアバート・タイタニア。大軍を率いてケルベロス会戦に臨むが……。担当声優は近藤隆

タイタニア一族の総帥を務める8代目無地藩王、アジュマーン・タイタニア。担当声優は三宅健太

またドラマを盛り上げるオープニングテーマ「あの宇宙(そら)を、征け」はオペラ歌手の錦織健が熱唱。エンディングテーマ「LOST IN SPACE」はスーパー戦隊シリーズやアニメの楽曲でおなじみのサイキックラバーが担当している。

TVアニメ『タイタニア』 ―プロローグ―

星歴と呼ばれる時代が始まるとともに、広大な宇宙に進出した人類は、星間都市連盟に属する多数の都市国家を築いた。宇宙で最大の勢力を誇った星間都市連盟の時代は永く続くと思われたが、「タイタニア」と呼ばれる一族が、連盟を離脱し、ヴァルダナ帝国皇帝より「無地藩王 (ラントレスクランナー)」の称号を得ると、歴史は大きく変動する。連盟軍との戦いでヴァルダナ帝国に勝利をもたらしたタイタニア一族は、「タイタニアなくして帝国なし」と公言し、一帝国の臣下でありながらも実質的に都市国家の大半を一族の支配下におき、宇宙の覇権を握った。
8代目無地藩王アジュマーン・タイタニアの時代を迎えたとき、ある権益を巡るトラブルから連盟に属する都市国家エウリアとタイタニアが会戦を迎える。この戦いを機に銀河は激動の時代を迎えようとしていた……。

第1話「ケルベロスの戦い」ではタイトルに違わず、壮大なスケールで原作のケルベロス会戦が映像化される

第1話の試写終了後に行われた会見には、石黒監督や原作者の田中氏らが登壇し、アニメ版への意気込みや、未完の原作小説についての言葉が交わされた。

■石黒昇(監督)
個人的な感想を言わせていただきますと「あーあ、始まっちゃったよ」というところです(笑)。『銀河英雄伝説』と10年以上付き合いました関係で「今度はこれをやろうか」と口約束をしていたのが始まりで、それがもう何年も前の話です。『銀河英雄伝説』をやっている間にアニメ業界も変わりまして、すべてがデジタルになりました。際限なく直せてしまうデジタルの恐ろしさを感じながら、若い連中と非常にいまジタバタしております。アニメは原作をもとに構成しておりますが、問題はその先は誰も知らないということで(笑)、予言しちゃうわけにもいかないし、待ってるわけにもいかないしね。とりあえず原作への期待を残しながら今回は全26話のまとまりを考えようということで苦慮しております。

正直、僕はいまのアニメからは遠ざかっていたんですが、最近の新作を踏まえて、自分の核心が持てるやり方でやるしかないかなと思っています。もっと古臭いやり方がいいかなとも思うし、そういった作品は少ないから目立つんじゃないかなと思うし。だから「なんか古臭いな」と思う人もいれば、逆にこういったリズムがいまのアニメにない安心感を与えるかもしれないと思ってるんです。テレビシリーズは10数年ぶりで、こちらが年取ってることもあるんですが、ひさしぶりに週1本作るという経験は思ったよりしんどいので、命を失わないようにがんばりたいなと思っております(笑)。

■田中芳樹(原作)
じつはいま、罪の意識にさいなまれておりまして、こんなにすばらしいアニメを作っていただいたのに原作は未完……(苦笑)。私の提供させていただいた素材からこんなに豪勢な料理を作っていただいて、料理をつつきながら「ごめんねごめんね」と言ってる次第でございます。(原作の状況は)東京を出発して大阪に着くことはもう昔からわかってるんですが、いま名古屋のあたりで木曽川が氾濫して、それを渡れない状態がもう何年も続いております(会場笑)。今回アニメ化でいろいろと悔い改めるきっかけになりましたので、これから先、アニメのほうを存分に楽しんでいただくとともに気長に原作をお待ちいただければと思っております。

■サイキックラバー・YOFFY(EDテーマ「LOST IN SPACE」担当)
『銀河英雄伝説』を体験してきた世代ですので、この話をいただいたときは手が震えました。オーケストラのサウンドが貴重になっている作品なので、最初はロックバンドとオーケストレーションの融合というのも考えていたんですけど、新しい幕開けを象徴するような楽曲にしたいと思いまして、あえて振り切ってみました。オープニングが錦織健さんということで、同じ土俵で勝負しないでよかったなと思っています(笑)。サイキックラバーなりに精一杯を出すことができたと思います。

■サイキックラバー・IMAJO(EDテーマ「LOST IN SPACE」担当)
試写を拝見して、映画を見終わったような感動を覚えました。今回のサウンドはシンプルに、僕らのテイストを損なわないようにレコーディングさせていただきました。いまアニメは世界中で流行ってまして、僕らの諸先輩は地球の裏側まで行ってコンサートをやって、その盛り上がりたるやすごいそうです。日本がアニメ文化の発信源ということを本当に誇りに思っておりまして、このすばらしい作品に出会えたことに感謝しております。

■美樹本晴彦(キャラクター原案) ※書面にてコメント
初めて『タイタニア』のアニメ化企画のお話を、菊川P、石黒監督からうかがってから数年。ようやくの実現です。私自身は、田中芳樹作品のアニメ化ではすでに手慣れた石黒監督とディレクターの伊藤氏からの指示のもと、メインキャラクターの原案と主なキャラクターの監修的な作業。今回キャラクターデザイン、作画監督を担当される杉光氏との共同作業に近く、お互いの良い部分を生かせることができればいいなと思いながらの参加です。原作が未完ということで、原作ファンの方々も期待と不安が入り交じっていらっしゃるかとも思いますが、私自身も続きを待ち望んでいた中のひとりとして、熱気溢れるライター陣の紡ぎ出すストーリーを楽しみにしております。それぞれのキャラクターについては、イメージを忠実に描こうとした人物、あえてちょっと変化をつけてみた人物といろいろです。そんなところも広い心で楽しんでいただければ幸いです。

左よりサイキックラバーのIMAJO、同YOFFY、石黒昇監督、原作者の田中芳樹、オープニング曲の作詞・作曲を手がけた高取ヒデアキ、同曲の編曲を手がけた高木洋

(C) 田中芳樹・タイタニア26パートナーズ