ペイリン氏の個人メールハッキング事件が思わぬ展開に

米アラスカ州知事で、共和党のアメリカ副大統領候補、サラ・ペイリン(Sarah Palin)氏の個人メールアカウントのハッキング事件が話題になっている。ことの起こりは9月16日(現地時間)、ペイリン氏の家族や知人からのメール、メールアドレスのスクリーンショット、アドレスリストなどが、内部告発サイト「Wikileaks」に掲載され、氏の個人メールアドレスがハッキングされたことが明るみにでた。ペイリン氏のキャンペーンマネージャーは即座に「プライバシーを侵害されたことは法律に反することとしても憤りを感じる。これらのメールを手にした人たちすべてが消却するように呼びかける」とアナウンスした。しかし、ネットに一度流れてしまったデータが完全に回収されたか否かを知ることは不可能だ。

FBIだけではなく、ペイリン氏のシークレットサービスも捜査を進めている。当初、「Anonymous(=匿名)」と名乗る集団が犯行声明を出していたが、その数日後、FBIの捜査の手は、テネシー州ナッシュビルのある大学生へと伸びた。18日には、画像掲示板サイト「4chan.org」に、ハッキングされた際の写真が数枚掲載されたが、どうやらこの時のIPアドレスを辿ったところ、テネシー・ノックスビル大学の寮となっているアパートにたどり着いたようだ。

20歳の男子大学生の名は、デビッド・カーネル(David Kernell)。現時点では、同大学のスポークスマンは、彼が芸術専攻の2年生だという以外の詳細は公にしていない。先週末(20~21日)、FBIの捜査官たちが、デビッドの住むアパートの家宅捜査を行った。

YouTubeでは、Kernell氏のコメントやそれを皮肉って作成されたコンテンツなどの映像がアップされている

容疑者としての調べを受ける青年の父親が、民主党所属の有力州議会議員だったことでさらに波紋を広げている。カーネル氏の知人と名乗るブロガーによれば、同氏が、事件発覚後の金曜にノックスビルに駆けつけ、彼の長年の知人である弁護士を含めて息子と3人で夕食を食べながら「今後どうするか」について話し合っていたのだという。22日、カーネル氏は、AP通信社へのコメントとして「私は何も知らないし何もできない」と答えた。

23日には、デビッドのルームメートたちによる連邦裁判所での証言が行われたが、現時点では、起訴には至らなかったようだ。しかし、FBIは引き続き調査を進めているとのことだ。