JR京葉線の海浜幕張駅から徒歩10分、千葉マリンスタジアムのすぐ近くに「県立幕張海浜公園」という公園がある。9月21日、この公園に常設されたマウンテンバイクコースを使用したイベント「a.b.c. cup Vol.41」が開催され、多くのMTB(マウンテンバイク)ライダーが集まった。

「a.b.c. cup」とは、日本国内におけるマウンテンバイク普及のために活動している日本マウンテンバイク協会が、この幕張のコースで年に数回開催しているイベント。競技指向の人からビギナー、そして家族連れなど幅広い層の人たちが楽しめる「草レース」として根強い人気がある。幕張という立地も、MTBで遊べるフィールドが少ない都会の人間にはうれしい。

a.b.c. cupで行われるレースは、MTB中級者以上を対象とし、1人または2人チームで60分間の周回数を競う「バリバリ・エンデュランス60」、カップルや職場のチーム、家族などで交替しながら60分間を楽しむ「ゆったり・エンデユランス60」、1~3周の短い周回で順位を競う個人戦「サーキットレース」の3種類に大別される。今回のa.b.c. cup Vol.41は「キッズデイ」というサブタイトルが付けられており、たくさんの子どもたちが参加していた。

上級者が集うバリバリ・エンデュランス60

バリバリ・エンデュランス60のスタート

まず最初に行われるのが「バリバリ・エンデュランス60」だ。エントリーは56人。レーサージャージに身を包んでいる人が多い。60分間の周回数を競うレースだが、このa.b.c. cup以外にもいろいろなレースに参加している上級者は、さすがに速い。トップの選手は「こんなペースで60分も持つの?」というようなスピードで、どんどん周回数を重ねていき、最終的にはほとんどの選手を周回遅れにして圧勝していた。

バリバリ・エンデュランス60で圧倒的な強さを見せた選手。他のほとんどの選手を周回遅れにしてしまった

バリバリ・エンデュランス60は、本格的なクロスカントリーMTBで参加する人が多かった

初心者でも楽しめるビギナーズ・パック

バリバリ・エンデュランス60で熱戦が繰り広げられている頃、原っぱのエリアではビギナーを対象としたライディングスクール「ビギナーズ・パック」が行われていた。日本マウンテンバイク協会のインストラクターが、キッズライダーたちに加速やブレーキングなどを優しくレクチャーしていた。

インストラクターにブレーキングを教わるキッズライダーたち

サーキットレース

バリバリ・エンデュランス60が終了すると、お昼休みをはさんでサーキットレースが始まった。サーキットレースのクラス分けはユニークで、キッズクラスは年齢別、そして大人は自己申告で「おやじ」「わこうど」の2クラスに分かれる。

「おやじ」と「わこうど」のクラスには、プロのMTBライダーとして活躍する山口孝徳選手がゲストとして参加。レースDJに「大人げない」といじられながらも、ケタ違いの速さを見せつけていた。

涼しい顔で圧倒的な速さで疾走する、ゲストの山口孝徳選手(左)

そして、小学生以下のクラスも白熱。走っている本人はもちろんだが、見ている親も熱い。ただし心配なことに、雨がポツポツと落ちはじめてくる。

キッズと言えども侮れない

ライバルの追撃を振り切り安堵

雨が強くなる中、スタート準備。いちばん小さな子のクラスは、大人が後から走って追いかけてもOK

かわいそうなことに、サーキットレースのクラスが低年齢になればなるほど、雨が強くなってきた。コースも徐々にぬかるんでくるが、雨が降ったくらいでやめたりしないのがMTBレース。子どもたちも、当たり前のようにスタートラインに並び、みんな勢い良く飛び出していった。いちばん年齢の低いクラスはお父さんたちが走って追いかけてもよいのだが、それでも子どもの自転車のほうが速い!

ゆったり・エンデユランス60

サーキットレースがすべて終了したら、最後は「ゆったり・エンデユランス60」。チームで交替しながら60分間を走る。周回数を競っても構わないが、表彰対象となるのはレース中に発表される数字とピッタリ同じ周回でフィニッシュする「ピッタリ賞」。だから、どのチームにも表彰台に乗るチャンスがあるというわけだ。MTBのレースに初めて出るビギナーでも楽しめるようにと、工夫されているわけだ。

ゆったり・エンデユランス60の選手たちが、原っぱのピットエリアを通過する

タッチで選手交代

雨でコース状況が悪い中、泥んこになりながら周回を重ねていく参加者たち。表情を見ていると、それでもみんな楽しそうだ。しかし、残念なことに残り20分ほどのところで、雨が猛烈になってきて、雷鳴まで轟きはじめた。雨が強いくらいでは中止にはならないが、落雷となると話は別。「ゆったり・エンデユランス60」は、15分短縮されることが決まり、コースもショートカットされることになった。参加者にとっては残念だが、安全性が第一優先だ。

MTBレースは泥んこでも楽しい

雨にもめげず各チームとも周回を重ねるが、この後雷雨により残念ながらレースは短縮

落雷の危険があるということで、レース終了後は、各チームとも即撤退の体勢へ。今回は表彰式も行うことができなかった。しかし、ずぶ濡れ&泥だらけになりながらも、大人から子どもまで大勢の人がMTBを楽しんだことは間違いない。

次回のa.b.c cup vol.42はクリスマススペシャルとして開催予定だ。「せっかくMTBを買ったけど、遊ぶ場所がない」という人は、参加してみてはどうだろう。