米Freescale Semiconductorの日本法人であるフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは9月10日、同社のプライベートショー「Freescale Technology Forum Japan 2008(FTF Japan 2008)」を開催した。これに合わせ、自動車のエアバッグシステム用バスインタフェースデバイスならびに低加速度センサの発表が行われたので、これらの製品の概要についてレポートする。

エアバッグ向けバスインタフェースデバイス

同社の車載半導体は主に「マイコン」「センサ」「アナログ」の3つの分野で提供される。中でもマイコンは32ビットPower Architectureマイコンが年間3,000万個の出荷実績を誇るなど、世界でトップクラスのシェアを持つ。また、センサに関してもアナログ、マイコンとの統合技術を武器にこちらも世界トップクラスのシェアを有するという。

フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンが車載事業の重点領域として掲げているのが、マイコンのほか、エアバッグ向けアナログデバイスならびに半導体リレー「eSwitch」である。今回発表されたエアバッグシステム用バスインタフェースデバイス「MC33781」(マスタインタフェース)「同33784」(スレーブインタフェース)はこの重点領域を強化するために投入されるものとなる。

自動車に搭載されるエアバッグは、運転者の前方を保護するものから始まり、助手席、サイドエアバッグ、カーテンエアバッグ、ニーエアバッグと数も種類も増加しており、今後も欧米諸国の法制化の流れにより加速することが見込まれている。

しかし、エアバッグの数が増加すれば、それだけハーネスの量が増加することにもなり、コストの増加やセンサ稼働用電源をいかに確保するかなどの問題が発生することとなる。

MC33781/33784は、Freescale(Motorola)とTRWが策定したプロトコル「DSI(Distributed Systems Interface)」のバージョン2.02に準拠した製品で、同社のDSI対応製品の第2世代品となる。

DSIバスの特徴と第2世代DSIのソリューション

第1世代と比べると、最大通信速度を150kbpsから200kbpsへと引き上げたほか、接続可能のバス数を2本から4本へと増やした。また、通信速度の向上により同時動作が可能なエアバッグ数がバスあたり3個から4個へと引き上げられている。さらに、「バス信号の最適化やクロックのスペクトラム拡散技術の実装などの工夫を施した」(同社 プロダクトマーケティング本部 遠藤千里氏)ことにより、ノイズの低減を実現、シールド線を不要とするなど、ハーネス重量の削減が可能となっている。

従来ならびに第1世代DSIと第2世代DSIの比較

横滑り防止装置向け低加速度センサ

フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン プロダクトマーケティング本部 RF、アナログ&センサー担当マネージャー 遠藤千里氏

続いて発表された低加速度センサ「MMA6700EG」(±3.5g)「6701EG」(±5g)は、自動車の横滑り防止システム(同社ではESCと呼んでいるが、他にVSAやVSC、VDCと呼ばれる場合もある)用に開発されたもの。米国では2012年度までに国内で販売されるすべての自動車に横滑り防止用システムを搭載することが義務化されており、欧州も2014年までにすべての新車に搭載を義務化するという。

2製品ともに2軸の加速度センサであり、「次世代のHARMEMS(High Aspect Ratio MEMS)テクノロジを採用したことにより、感度が向上したほか、S/Nの改善により最下位ビットのデータの信頼性が増加した」(同)とするほか、「ローパスフィルタを搭載したDSPにより、よけいなノイズを検知しないように車両に応じたノイズのカットオフが可能である」(同)とした。

「MMA6700EG/6701EG」の特徴

なお、2製品ともにすでに自動車メーカーに向けてサンプル出荷が開始されているという。ちなみに単価は参考価格ではあるが、どちらも1万個発注時で7.67ドルだという。