【レポート】

メディアからの批判考慮、コンテンツ規制議論先送り - 情報通信法で総務省

1 コンテンツ規制の「倫理規定」に大きな批判

    斉藤永幸  [2008/09/16]

    総務省はこのほど、"放送と通信の融合"に必要な法制度などについて議論する「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」の第7回会合を開き、今後審議すべき内容をまとめた「検討アジェンダ」を発表した。同アジェンダによると、当面は伝送設備・伝送サービスや視聴者保護などの規律のあり方を中心に議論することになる。

    意見募集では「権力の介入招く可能性」も指摘

    同委員会は、放送と通信の融合、連携の動きを踏まえ、総合的な法体系のあり方について議論するために、今年2月に総務省 情報通信審議会に設置。約半年にわたり審議を行い、今後重点的に審議すべき論点をまとめた中間論点整理を今年6月に発表した。

    中間論点整理では、(1)法体系全般、(2)伝送設備規律、(3)伝送サービス規律、(4)コンテンツ規制、(5)プラットフォーム規律、(6)レイヤー間の規律、(7)利用者利益の確保・向上のための規律、(8)その他、の8つの論点を挙げ、これまでの審議の結果をまとめた。

    公表後に行われた意見募集で特に批判があったのは、(4)の「コンテンツ規制」に関する論点。中間整理では、全ての人が順守するべき「最低限の配慮事項」を倫理規定として盛り込むことを求めていたからだ。

    この点に対し、日本新聞協会 メディア開発委員会は、「事実上の規制根拠として、公権力の介入を招く可能性がある」と指摘。「倫理は法律に規定すべきものではなく、あくまで自主的に順守すべきものである」として反対を表明。この点については他にも、「新たなメディア規制につながりかねない」などの意見がメディアを中心に寄せられた。

    また、違法・有害情報対策について、「行政機関が直接関与しない方向で検討することが適当」としているにもかかわらず、コンテンツに対して法律で規制するのは、「表現の自由を侵しかねない問題だ」という指摘がなされた。

    「レイヤー型」への転換は賛否両論

    また、日本民間放送連盟は「中間論点整理が示した再編の方向性は産業振興の観点に偏っている。しかも、通信・放送の法体系をレイヤー(階層)型に転換する(※1)意義や効用についての合理的な説明を欠いたままだ」と反発を示した。

    ※1 昨年開かれた総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」がとりまとめた最終報告書では、放送法や電気通信事業法など9つの法律を、「コンテンツ(情報内容)」「伝送設備・サービス」などの横割りのレイヤー(層)構造に組み替える形で一本化。コンテンツレイヤーに関しては、従来は原則自由だったインターネット上のコンテンツも、放送コンテンツと同様に「公然性」を有するものとして、ともに社会的影響力に応じて段階的に規制するとしている。

    しかし法体系をレイヤー型に転換することに対しては、賛成意見も寄せられた。スカイパーフェクト・コミュニケーションズの意見もその一つ。

    同社が事業を行っている多チャンネル放送サービス分野は、通信・放送または有線・無線それぞれの複数の法律にまたがっている。そのため「他のメディアの競合企業と競争条件が同一ではない」とした上で、「健全な競争が行われることにより視聴者の選択肢が増え、有料放送産業がさらに発展することが期待できる」とした。

    こうした意見に対し、前回の第6回会合では複数の委員からいくつか感想が述べられた。

    ある委員は「法体系(レイヤー型)を一本化して新たなビジネスを生み出しやすくするといったメリットが依然として理解されていないのは非常に残念」と発言。「メリットを理解してもらわないと今後の議論が進められない」などの意見も出た。

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