拡販に向け、3カ月の無償貸与も開始

ソフトバンク 孫正義社長

ソフトバンクは9日、携帯電話によるインターネットの活用促進を目指す、法人向けイベント「SoftBank Summit 2008」を開催した。同イベントで孫正義社長は、「インターネットカンパニーが描くモバイルインターネットの世界」との表題で基調講演を行い、「モバイルインターネットの利用がビジネスのスタイルを変える」と力説。企業が積極的にiPhone 3Gを業務に用いることにより、利益向上、効率化などにつながると主張した。

同時にイベントに参加した企業約1,500社のうち、iPhone 3Gの導入、あるいは試用を検討している企業に対し、iPhone 3Gを3カ月間、1社につき5台を無料(通話料や通信料も無料)で貸し出すキャンペーンを実施すると発表。iPhone 3Gの企業向け需要を本格的に推進していく姿勢を鮮明にした。

孫社長は海外出張の際、iPhone 3Gをもっていれば、業務のためのメールを、空港からホテルまでの道すがらチェックすることができ、ノートパソコンを持ち歩く必要がなくなったほか、ホテルでのインターネットの設定作業も不要になったと自身の体験談を紹介。そのうえで、「一般的な会社員は、一日の業務時間のうち、平均すると30%は移動時間で占められるとの統計がある。従来、この時間はほとんど誰もが、ボーっと、仕事に関係のないことを考えていたのでは? 結局は人件費の3割が浪費されていたことになるが、iPhone 3Gを携帯していれば、移動時間も有効に使える」と指摘した。

日本の労働生産性はかつて、世界的に非常に高い水準にあったが、近年は低下し、先進7カ国中で最下位、OECD(経済協力開発機構)加盟30カ国中、20位(いずれも2005年調べ)の状況だ。「戦うための武器があれば、競争のスピードを得られる。利益を向上させるには、売り上げを増やし、コストを下げる、この2つしかないが、それには武器を手に入れるのが一番の近道だ。日本がかつての生産性を取り戻すためにも、武器をもつことが重要になる」と孫社長は語る。iPhone 3Gこそが、強力な武器となるという考えだ。

iPhone 3Gは、インターネット利用したOSの更新、高い通信速度、タッチスクリーンを採用したユーザーインタフェースなど、一般消費者向けに利便性が高いと思われる特性があるが、実は企業向けに卓越した機能があるのだと、孫社長は強調する。

また、iPhone 3GはマイクロソフトのExchange Serverと連動することが可能であるため、企業内のパソコンで受信していた業務上のメールが「セキュアに、自動的にプッシュ配信される」(孫社長)。また、「日本のビジネスマンのほとんどは、会社で受信した仕事のメールを携帯電話で読むということができない。しかし、米国では、ブラックベリーの普及により、ほとんどの人々がこれを利用できている。日本はインターネット大国になっているといわれるが、この点では後進国だ」(同)と話す。