名刺をもらったら相手の肩書きが「エバンジェリスト」だった、という経験はあるだろうか。gooが発表した「どういうポジションの人なのかよくわからない肩書きランキング」の堂々1位がこのエバンジェリスト。この他「インテグレーター」「フェロー」「バイスプレジデント」など、カタカナ語を中心に馴染みの薄い役職名がランクインしている。

エバンジェリストという肩書きは、IT系企業ではかなり増えているようだ。もともとはキリスト教における福音伝道者の意味。転じて、企業においては自社の製品・サービスの啓発活動を行う職種とされている。セミナー、イベント等での講演や、雑誌やWebでの執筆活動を行うなど、表舞台に立つことが多い。トークが立って技術もわかる広報担当者や、説明が上手く話の面白い開発担当者などがこうした場に起用されることは以前から行われていたが、"エバンジェリスト"は彼らの力量を積極的にPR活動に活かすための、一種のスター制度のようなものなのかもしれない。ちなみに、自分が熱く信奉する製品を自主的に他人に勧めてまわる人がこう言われることもあるようだ。

2位の「董事(とうじ)」は、中国・台湾系企業の役職で、日本でいえば役員クラスの人を示す。5位の「フェロー」は研究職に就く人の職名で、大学や開発関係企業のほか、シンクタンクなどでも見られる。6位の「アーキテクト」は一般的に建築家のことかと思うが、IT関連ではシステムやアプリケーション開発において、プロジェクトの枠組み策定から構築までを担う人を指す。幅広い知識を持ち、システム全体を見渡せる力量が必要とされる職種だ。19位の「最高情報責任者(CIO)」は、「最高執行責任者 (COO)」「最高経営責任者(CEO)」などと混同しそうだ。漢字の補足なしでエライ順に並べるのは無理そうだ。

外資系企業の進出や役職の細分化で、このようなこれまでに無かったタイプの肩書きが登場しているが、18位「プロフェッショナル」や20位「スペシャリスト」は、何となく和製っぽさが漂う。技術が高いことは示したいが役職手当は出したくないがために導入した横文字、というのは穿った見方かもしれないが、どの程度責任のある立場なのか外部の人間から見当の付かない肩書きはちょっと困りものだ。そういえば、伝統的な役職名である「次長」(17位)も、言われてみれば何の"長"……?

どういうポジションの人なのかよくわからない肩書きランキング

順位 肩書き
1 エバンジェリスト
2 董事
3 パブリシスト
4 インテグレーター
5 フェロー
6 アーキテクト
7 バイスプレジデント
8 マーチャンダイザー
9 リードトレーナー
10 アソシエイト
11 参事
12 スーパーバイザー
13 主事
14 コンダクター
15 アナリスト
16 シニアスタッフ
17 次長
18 プロフェッショナル
19 最高情報責任者(CIO)
20 スペシャリスト