IDFのレポート、初回をNehalemにするか、こちらにするかでだいぶ迷ったのだが、Nehalemの話題を語る際にメモリの問題を避けて通るのは無理なので、まずはこちらを先にレポートすることにした。ちなみにMemoryレポートと書くとFlashまで入ってくるので、ここでは敢えてDRAMレポートとした。Flashに関係する話は別に分けたいと思う。

DDR3とDDR3L

さて、まずPhoto01がおなじみIntelのロードマップである。これを、今年春のもの(Photo02)と比較してみるとちょっと面白い。SDRAMが消えたのはまぁ順当として、最大の違いはLVDDR3なるものが出現したことだ。実はこうした話、今年6月に開催されたMemcon 2008のJEDECセッションでも軽く触れられていた(Photo03)。もっともMemconではこのあたり、本当に軽~く流してしまっており、細かい話は一切なされていない。では何が起きているのか? という事をまずはレポートする。

Photo01:DDR3がリリースされてだいぶたつわけで、本来であればDDR4の話がそろそろ出てこなくてはおかしい。

Photo02:春にはまだSDRAMが残っていた。おそらくIntel IXP42x/43xファミリーがIXP45x/46xファミリーやTolapaiことEP80579で置き換えにより、SDRAMのニーズが殆どなくなったということだろう。

Photo03:上から2つ目の項目に注意。ちなみにこの写真は福田昭氏提供。

かねてからJEDECはDDR4の世代が2種類、つまり従来の延長にあるSingle Ended(信号線あたりの配線が1本のもの)とDifferential(信号線あたりの配線が2本のもの)の2本立てで行くという話をしていた。Photo04は昨年のWinHECにおけるMicronのプレゼンテーションだが、2008年にはDDR3が立ち上がり、2009年中旬には次世代メモリ(敢えてDDR4は書いてない)が立ち上がる構図を予測していた。で、現実は? というと、この構図がまるで成立していない。それどころか、この2種類の接続を用意するという案は、まもなく正式にキャンセルされる見込みだ。

Photo04:プレゼンテーションのタイトルは"The Future Of Memory And Storage: Closing The Gap"というもの。ちなみにNGMは"New Generation Memory"。SEがSingle Ended、DiffがDifferentialである。

なぜかという話は後述するとして、その代わりに出てきたのがLow Voltage DDR3だ。正式には"DDR3L"となる予定のこの規格は、1.35Vおよびそれ以下の電圧でDDR3を動作させることを目論んでいる。実際メモリベンダーはこの方向に向けて現在活発に作業を行っており、例えばELPIDAはIDFのShow Caseでこんな資料を示していた(Photo05)。もっと積極的なのがQimondaで、例えばLow Voltage DDR3はこんな具合だ(Photo06)。

Photo05:1.5Vでは1333MHzが、1.35Vでは1066MHzがそれぞれSweet Spotとなっている。その下、例えば1.25Vともなると、流石に高クロック品は取りにくいそうだが、それでも1066MHzであればちゃんと生産できることを示している。

Photo06:2012年がDDR3世代になるのか、DDR4世代になるのか、が目下の焦点。

これは別にELPIDA/Qimondaだけではない。主要なブースで聞いてきた返事をまとめると、

  • Samsung : マーケットの要求があれば、1.35Vの製品をリリースする用意がある。
  • Hynix : 現在のプロセスでも1.35Vはすでに実現できるから、問題はない。ただ1.2Vについてはもう少し議論の余地がある。
  • Kingstone : サーバー向けに用意できる。
  • SuperTalent : ウチはメインストリーム向けなので、1.35Vはまだ積極的に準備はしていない。ただ時期が来れば用意すると思う。

といったところ。

また、Inphi/IDTといったRegister Buffer向けベンダーも、1.35Vの製品の提供に問題は無いと話しており、もう各社とも1.35Vへの道にまっしぐらである。