今回チャレンジしたのは、アジやイワシの群れをコマセと呼ばれる大量のアミエビを撒いておびき寄せ、疑似針で掛ける手軽な釣り「サビキ釣り」だ。釣り人に開放されている漁港や海釣り公園などでも楽しめるが、より条件のいい釣り場を求めて千葉・木更津の沖堤防に渡った。同行する女性編集者が交代し、まったくの初心者に逆戻りしたのが不安材料であったが、新たな担当編集者Aさんは、サーフィンが趣味で1級小型船舶操縦者免許も取得したほどの海好きとのこと。釣りにも前向きな姿勢なのだが、果たしてどうなることか……。

堤防でのサビキ釣りに挑戦!

市販のサビキ釣り仕掛け。はじめての人は、コマセを入れるアミとオモリもセットになっているパッケージがおすすめ

離岸提とも呼ばれる沖堤防は、その名の通り陸続きではないので、渡船を利用してアクセスする必要がある。渡船の運行時間が決まっているため、気ままに行き来することはできないが、陸続きの堤防などと比べると、船の定員分しか釣り人が集まらないため、休日でもさほど混雑することがない。また、堤防は沖合につくられているので潮通しが良く、水深も深いので色々な魚を狙えるのだ。

沖堤防に渡船で渡る

木更津沖堤の全体図。A堤防からD堤防までを繋ぎ合わせると3.3kmにもなる

今回行った木更津沖堤防は、A~Dの4つの堤防が並んでおり、A堤防が最も水深が深くD堤防へ向かうにしたがって浅くなっている。渡船屋の栄宝丸さんに最新情報を聞き、アジを狙うのならA堤防が良いとのことだったので、9時の便でA堤防の先端に渡った。アジは水底近くを回遊しているので、サビキ仕掛けを底まで沈めてコマセを撒き、回遊してきたアジをコマセで足止めするのが数を伸ばす秘訣とのこと。

渡船で沖堤防に渡るAさん

平日の釣行だったため、広大なA堤防は人気もまばら。加えて、360度を海に囲まれた非日常的なロケーションと夏の青空が、開放的な気分にさせてくれる。はやる気持ちを抑えて、Aさんにサビキ釣りを手ほどきし、栄宝丸さんのアドバイス通りに仕掛けを底まで落とすことを教え込む。しかし、Aさんは初めての沖堤防釣りで気持ちが高ぶったのか、アジが回遊してくるのを待つよりも、水面下で群れているイワシを釣りたいと言い出した。

沖堤防の上からは、はるかかなたの入道雲まで見渡せる

この日使ったタックルの全体図。釣具店によっては、リールや竿を含むサビキ仕掛けセットも販売されている

見えているイワシに大苦戦

水面下のイワシを見つめるAさん

この日は潮が澄んでいて、水面下1m以内を泳ぎ回るイワシが大量に見えていたのだ。筆者としては、小さなイワシよりも20cmクラスが回ってくるというアジを釣ってほしかったのだが、すぐそこで群れているイワシが気になって仕方がない様子だったので、イワシ狙いへ変更することにした。しかし、見える魚は釣れないと言われている通り、イワシの目の前にサビキ仕掛けを落としても、コマセを食べるばかりで針には見向きもしない。

サビキ仕掛けは本物のエサをつけない疑似針なので、潮が澄んでいたり、魚の警戒心が強いと針掛かりしないのだ。最初はイワシ狙いに消極的だった筆者も、イワシに馬鹿にされているような気分になったので、Aさんの釣り道具をサビキ仕掛けからトリック仕掛けにチェンジしてイワシへの逆襲を試みた。

トリック仕掛けは、サビキと同じように針のたくさん付いた仕掛けだが、疑似針ではなく、本物のエサであるコマセのアミエビを針に付けて使用する。針の1つ1つに小さなアミエビを付けていくのは効率が悪いので、仕掛けを通すことでまとめてエサ付けが行える専用のエサ付け容器を用いるのだ。

トリック仕掛けは小さな針と大きな針の2重構造になっており、小さな針はアミエビを引っ掛けるためのもの

専用のエサ付け容器を通すだけですべての針にアミエビを付けることができる

本物のエサを使うトリック仕掛けに変えると、ようやくイワシが釣れるようになった。まとめて何匹も針掛かりすることはなかったが、1匹ずつ確実に数を伸ばしてご満悦のAさん。もうアドバイスは必要なさそうなので、筆者はフカセ釣りに集中することにした。

ついにイワシをゲットしたAさん

釣れたイワシはトウゴロウイワシという種類