箱根を巡回するバスを運営している箱根登山バスは9月1日、各観光施設を結ぶ路線に新型バス「Skylight(スカイライト)」を導入し、運行を開始する。運行開始に先駆けてこのほど、試乗会が行われた。

新型バス「Skylight」は、箱根仙石原、強羅、御殿場地区を結ぶ路線に導入され、「箱根ラリック美術館」「箱根ガラスの森」「ポーラ美術館」「箱根湿生花園」から「御殿場プレミアム・アウトレット」まで、主要観光施設を走る。乗車は普通運賃で、初乗り料金は160円。箱根フリーパス等の企画乗車券も利用できる。座席は30席(運転席を含む)で、乗車定員は50名。

新型バス「Skylight」。右がダークブルー色、左がダークレッド色の車両で今回の導入はこの2両となる

箱根登山バス社長 伊藤悦充氏

「1998年5月に、乗り換えをせずに、小涌園と湿生花園を結ぶこの路線ができたことは画期的でした。ですが、2002年に箱根登山バスとして新たにスタートしてから、今回が初めての特別仕様の車両導入となります。"わかりやすい箱根"をSkylightで皆様に堪能していただき、『このバスに乗りたい!』と思っていただけると幸いです」(箱根登山バス社長 伊藤悦充氏)。また9月1日には、従来の路線名称だった「箱根施設めぐりバス」を「観光施設めぐりバス」へ名称変更する。変更の理由は、「箱根の"観光施設"を巡るバスであることを明確にアピールし、"乗って楽しいバス"を目指していくため」(同)としている。

試乗した「Skylight」ダークブルー色の車両正面(左)とサイド(右)

試乗ではダークブルー色の車両に乗車し、宮城野~仙石~湿生花園~仙石高原~仙石~宮城野というルートを約30分程度で巡った。既報でも紹介したが、同バスの注目は、名前の由来でもある"天窓"だ。バスの天井部分に大きく配置されている天窓は実際、施設巡回バスに乗っていることを忘れさせ、観光気分を与えてくれた。「はじめは別の構想でバスの設計をしておりましたが、安全面の配慮と箱根の自然を堪能してもらいたいという考えから、このような形に決まりました。希望どおりのバスになっていると思います」(同社担当)。

着席している人なら横の窓を眺めればいいが、立ったまま乗車する人にとっても、天窓があるとより景色を満喫できるのではないだろうか。試乗はあいにくの雨で車窓の景色を満喫するには不適切ではあったが、これからの紅葉シーズンに利用者が天窓を一心に眺める姿は容易に想像できる。また車内が明るいのは自然光を天窓から取り入れているだけでなく、天井を高くし、エアコンのダクトに観光バス用のダクトを採用し、光の阻害を極力防ぐ工夫がなされているからだという。確かに、通常のバスより車内が明るい印象を受けた。これも箱根の自然を存分に楽しんでほしいという同社の希望を反映した結果だ。

車内の様子。つり革は小田急電鉄のものと同じ。「きちんとがっしり握れるつり革と思い、従来の丸型のつり革ではなく、小田急電鉄で使われているものと同じものを採用しました」(同社担当)。

(左)天窓からの風景。雨のためいい絵は撮れなかったものの、天候がよければ天窓からの景色が楽しめることは窺えた。窓にはUVカットが施されている(上)上からみたバスの天窓部分

(左)あえて観光用のエアコンダクトを採用したという両サイドのエアコンダクト (上)車内には"Skylight"の文字が入っている

また車両は今回2両の導入となるが、2010年にはバスの代替のタイミングでダークグリーン色の車両を1両追加するとしている。その後の同バスを追加導入するかについては現在のところ未定だという。

そのほか、運賃などを表示するモニターは、液晶を採用しており、施設の写真が定期的に映し出される。また次の停留所を知らせる案内には日本語に加え、英語、韓国語、中国語で対応する。「箱根の観光客は2007年度に10年ぶりに回復し、観光客は2,000万人に回復しました。外国人の観光客も増えてきている現状を考慮して案内の対応言語を増やしました」(同社担当)。

次の停留所をしらせるモニター画面。日本語と英語、韓国語と中国語で案内される

観光施設めぐりバス路線で、「Skylight」が運行するスケジュールはウェブサイトに記載されている。温泉旅館が多く、秋冬に向けて一層観光客で賑わうであろう箱根で、同バスが話題を呼ぶことになるのか。今後の動向が楽しみである。