NVISION 08にて、米NVIDIAが予定外のスペシャルカンファレンスを開催し、Nenalem世代の「Core i7」プロセッサ向けチップセット「Intel X58 Express」において、NVIDIA SLIのネイティブサポートが可能になったことを発表した。

新たなSLIライセンスプログラムを解説する同社Technical Marketing DirectorのTom Petersen氏。取材を終えてホテルに帰ろうとしたら突然呼び出されて参加、というくらい急なカンファレンスだった

Intel X58 ExpressとNVIDIA SLIをめぐる話題のこれまでの経緯として、nForce 200 SLIチップをアドオンする形でのNVIDIA SLIのサポートについては、こちらの既報の通り。今回の発表は、NVIDIA SLIのライセンスプログラムが拡張され、新たにIntel X58 Expressチップセットで追加チップ無しの"ネイティブ"SLIがサポート可能になったというもの。

同ネイティブSLIでサポートするIntel X58 ExpressチップセットのPCI Expressレーンの振り分け構成は、2スロットでx16レーン×2本。3スロットでx16レーン×1本+x8レーン2本。3スロットでx16レーン×2本、もしくは片方のx16レーンからスプリットしてのx16レーン×1本+x8レーン2本。4スロットでx8レーン×4本という計4パターン。

Intel X58 Expressで"ネイティブ"SLIがサポートする構成

なお、今回のライセンスプログラムはIntel X58 Expressのみを対象としており、他のIntel製チップセットには適用されない。

注意したいのは、今回のネイティブSLIを利用できるIntel X58 Express搭載マザーボードが、NVIDIAの認証を通過したものだけという点だ。ネイティブSLIのサポートを希望する各パートナーのマザーボードは、NVIDIAの製品テストを受けた上で、システムBIOSにNVIDIAの暗号キーを組み込む必要がある。

チップセットの個別情報に加えて、同暗号キーがSLIドライバをイネーブルするために必須となるので、「ネイティブSLIへの対応はパートナー次第」(Petersen氏)。ただ、認証に関しては、(例えばマザーボードベンダとしてのIntelも含めて)あらゆるパートナーに対して柔軟なスタンスで実施されるのだという。

ちなみに、従来のnForce 200 SLIチップを利用するIntel X58 ExpressでのSLIサポートについてだが、こちらはグラフィックスバスの帯域がより広い"プレミアムシステム"として継続することが明らかになった。nForce 200 SLIチップをベースとした場合のPCI Expressレーンの振り分け構成は、3スロットでx16レーン×3本。4スロットでx16レーン×4本となる。

nForce 200 SLIチップの利用でサポートする構成

これらをユーザーが利用可能になる時期だが、各パートナー次第という前置きこそあるものの、ネイティブ、nForce 200 SLIベースともに、NVIDIAではIntel X58 Expressの市場投入と同時期を見込んでいるようだ。

ところで最後に、Nehalem世代でIntelプラットフォームのバスアーキテクチャが大幅変更されることに絡み、チップセットビジネスの今後が取り沙汰されることが多くなった同社だが、この件について、Petersen氏は同カンファレンスの中で「NVIDIAは2009年以降もチップセットを続ける」と断言している。