【インタビュー】
独自の作風で他の追随を許さぬ人気ギャグマンガ家、唐沢なをき氏。怪獣と鉄人28号と赤塚不二夫にどっぷり浸かった若き日にはしかし、自らの描いたマンガを人に見せるのが、恥ずかしかったという。さらにその作風ゆえに、デビューに至る道には数々の困難が待ち受けていた。そんな氏が、多作家となり得た理由とは!?
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唐沢なをき氏 |
――以前、お話をうかがったときに幼いころから、とにかくたくさん絵を描いてらしたということでしたが……。
「実家が薬局だったもので、薬局のロゴの入ったボールペンと書き損じの大学ノートがいっぱい余ってたんですね。そのノートの余白にボールペンでマンガを描いたというのが始まりで、とにかく普通の子どもたちがするような遊びはほとんどしないで、家に閉じこもってマンガばっかり描いてましたね」
――お描きになったものは、どなたかにお見せになっていましたか?
「ウチの兄が先にマンガを描いていて(お兄さんは、現在、評論家として活躍中の唐沢俊一氏)、自分もそれをマネしてマンガを描き始めたんですが、しばらくは兄弟の間で、お互いに描いて見せ合っていたという感じですね。早いうちに兄は飽きちゃって、それから一方的にオレが描いて見せる感じになってましたが」
――それが、高校時代まで、ずっと続くと……。
「そうなんですね。大学ノートにボールペンで、というのが小学校に上がる前から始まって、三、四年生ぐらいから本格的に分厚い大学ノートにストーリーに沿ったギャグマンガを描くようになって、それが延々、高校の三年生ぐらいまでずっとボールペンで(笑)。終いには、大学ノートが50冊から60冊ぐらいたまりました」
――そのころ、どなたかの影響を受けてらしたんですか?
「子どものころから、赤塚不二夫先生の大ファンでしたから、とにかくギャグマンガ一本ヤリという感じで。もちろん、藤子先生も手塚先生も石ノ森先生も読んでいて、愛読者であり、自分のマンガの血になり肉にはなっていたんですけど、やっぱり、基調になっているのは、ダントツで赤塚先生でしたね」
――当時の唐沢少年の頭の中身を円グラフで表すとすると……。
「半分ぐらい怪獣で、残りの3分の2が赤塚先生だったかな。残りが『鉄人28号』。逆に言いますと、それ以外のことにほとんど興味のない子どもでしたね(笑)。普通はそこら辺で走り回ってたり、草野球をやったりとか、自動車に興味をもったりするじゃないですか。すごい狭い子どもだったんですね、オレ。世界が閉じてしまって、なんかあんまり健康じゃなかった(笑)」
――そして高校生になると、同人誌活動を始められるんですね。
「はい。高校三年生の卒業ぎりぎりまで、大学ノートにボールペンを続けてたんですけれども(笑)、そのころ、澎湃として世の中に巻き起こったのが、『宇宙戦艦ヤマト』に始まるアニメブームだったんですよ。札幌って、草の根的なアニメのファンサークルの立ち上がりがたくさんあったんですね」
――お兄さんが『宇宙戦艦ヤマト』のファン活動をなさってらしたというのは、有名なお話ですが……。
「ウチの兄に引っ張られるような形で、わたしもそういうサークル活動に参加しまして。ただ昔は、『宇宙戦艦ヤマト』のファンサークルとはいっても、それをとっかかりにして創作系の活動をみんなでしようじゃないかとがんばってたんで。それじゃ、オレも本格的に描いてみようかな、と」
――そういった活動をされていた方の中には、後に作家になった方もいらしたんですか?
「ええ。今と違って、地方のコミックの即売イベントってかわいいものだったんですよ。デパートの催事場の一角をちょっとだけ借りて、机をいくつか並べて、みんなが作った同人誌を売り買いする。そういうささやかなイベントだったんですけど、その中でも後にいろいろ名前が出る、あさりよしとお先生であるとか、島本和彦先生であるとか、そういう結構大変な方々と机を並べて売ってたんですよ」
――そのイベントは、すごい高確率でプロを輩出したことになりますね。
「それで、今まで絵空事だったプロのマンガ家の世界が、一挙に地続きになったというか、今そこで同人誌を売っていたあいつらがプロになれるんだったら、もしかしたらオレもなれるかも、みたいなね(笑)」
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