前置きが少々長くなったが、今回は、これからスポーツサイクルを買いたい! という人のために、専門店のスタッフに「買い方指南」をしていただくことにした。ご登場いただくのは、今年オープンしたばかりの新しいスポーツサイクル専門店「バイクプラス多摩センター」の小林祐希さんだ。今回は小林さんに「とりあえず10万円くらいで、速くてカッコイイ自転車が欲しいんですけど! 」という、無謀な条件を出してみた。

バイクプラス多摩センターの小林祐希さん

「これからスポーツサイクルを始めたいというお客様でも、最近はインターネット等でいろいろ調べて、イメージを持ってから来店される方が増えています。まずは、その人がどんなふうに自転車を使いたいのか、どんなことがしたいのか……そのイメージを伺うようにしています」と、小林さん。

ショップがお客さんに「どんなふうに使いたいか」を聞く理由は、その利用シーンに合った車種があるから。でも、初めてスポーツサイクルを買いたい場合は、もしくは「なんとなく、速くてカッコイイやつ」といった漠然としたイメージしか持てなかったり、インターネットで調べているうちに実体験を伴わない知識ばかり増えて、よけいに悩んでしまったりするもの。

小林さん、ひとまず、スポーツサイクルにはどんなジャンルがあるのか、どんな用途に向いているのかを教えていただけませんか?

クロスバイク

クロスバイクの一例

「では、まずクロスバイクから。ママチャリから乗り換える人にとって、いちばん馴染みやすいのがクロスバイクというジャンルです。スポーツサイクルの中では、ポジションも前傾姿勢にならず、安心して乗ることができます」(小林さん)

ちょっと大きめのホイールに、太すぎず細すぎずといった感じのタイヤを装着し、舗装路を快適に走ることができるのがクロスバイク。河川敷のちょっとしたダートや、車道と歩道の段差なども、比較的安心して走ることができる。通勤・通学や買い物、週末のちょっとしたサイクリングなど、ふだんの生活の中にスポーツサイクルを取り入れたい人にはもっとも適したジャンルだ。

マウンテンバイク

MTBの一例

「続いて、MTB。MTBはご存知の通りオフロードに適した自転車です。山道に適した軽いギアがついているので、オフロードだけではなくて、坂道のアップダウンが多い街にも向いてますよ。タイヤが太いので、車道と歩道の段差を行き来するのも楽です。舗装路しか走らないなら、後から(ブロックの無い)スリックタイヤに変えても良いですね。決して10万円以下のMTB=入門用、というわけではなくて、後々アップグレードして楽しめる車種もあります」(小林さん)

ロードバイク

ロードバイクの一例

「最近はロードバイク人口が増えてきたので、街中でもだんだん見慣れた存在になってきたのではないでしょうか。見ても判るように軽くてスピードが出せて、上り坂もスイスイとこなすことができます。クロスバイクを買う方でも、いつかはロードバイクに乗りたいという人がいますね」(小林さん)

30万円オーバーがザラにあるロードバイクの世界では、10万円という予算はちょっと厳しいのは事実だが、それでも以外と10万円近辺のモデルも多い。また、それらのモデルは、何十万円もする「高級車」よりもずっと扱いやすいくて、最近は街乗りで使う人も増えている。

この他にも小径車&折りたたみ自転車、シクロクロス、コンフォートバイク、リカンベント――などなどいろいろジャンルがあるのだが、そのあたりのディープな自転車事情は、機会を改めて。

さて、スポーツサイクルの種類がわかってところで、今回は「はじめてのスポーツサイクルとして、クロスバイクが欲しい! 」という前提のもと、買い方・選び方のコツをもう少し詳しく見ていこう。