――どういった経緯で、このシリーズを始められたんでしょう?

「入社当時は、キャンディトイ、いわゆる食玩と呼ばれるものを担当していました。武器やロボットなどを7年ぐらいやったんですが、そこで一念発起しまして。最初は小さいコレクションフィギュアから始めて、やがてこういうものをやろうと立ち上げました」

――そのころ御社には、こういった商品を生み出すノウハウはあったんですか?

「正直申しまして、何もありませんでした(笑)。そこで、スケジュールを組み、原型師さんを探して原型を手配し、ソフビやPVCの工場探しもしました。海外に出張したついでに、いくつもの工場を回ったりしました」

――新しい商品となると、流通に乗せるのも……。

「立ち上げ時は"どこで売ってくれるんだろう"ということで、自分で営業っぽいこともしました。今でもお付き合いのある問屋さんとの出会いもあり、どこの馬の骨、みたいな自分の話をちゃんと聞いてくれた方々のおかげですね」

――まったく新しい試みだったわけですね。

「最初は、お客さま対応、いわゆるクレーム対応ですね。そういったことまで、何でもやりました。今は会社の体制が整ったためにその必要はなくなりましたが(笑)。がんばって努力してよかったと思います」

Excellent Model Series第1弾は、大ヒットシリーズ『美少女戦士セーラームーン』から、「キューティーモデル セーラームーン」。写真左からTVアニメ版セーラームーン、マーズ、マーキュリーの3人がラインナップ。2003年2月発売
(C)武内直子・PNP・テレビ朝日・東映アニメーション

続く第2弾は、「キューティーモデル セーラームーンP-2」。セーラージュピター(写真左)とセーラーヴィーナス(右)の2人をピックアップ。2003年7月発売
(C)武内直子・PNP・テレビ朝日・東映アニメーション

――そういった努力を支えているモチベーションは、どこからくるんでしょう?

「キャラクターが大好きなんですね。逆に好きじゃないキャラクターはできないので、こういった商品は自分で好きで"なんとか商品化したい"、というところから始めている部分はありますね。お客さまにバレますからね、"知らねえでやってるな"っていうのは」

――お客さんはその点、鋭いですからね。

「嗜好品じゃないですか、こういうものって。知らない人が作って、"こんなん欲しいんでしょ"っていわれても、絶対違うものができるじゃないですか」

――フィギュア化する際のキャラクターのポージングなどは、どのようにして決められるんでしょう?

「最初は自分で全部考えてました。それまでの経験もあって、パーツ割りまで自分で考えてやってたんですけど、"必ずしもそれだけじゃないな"と。今は、原型師さんと一緒に考える場合もありますし、原型師さんにお任せする場合もありますね」

自ら担当するExcellent Model Seriesについて説明する金子氏