SiSoftware Sandra XII

まずは定番のSandraから。CPUテストでは、NanoがC7の2倍以上のスコアを出している。Atomに対しては各スコアとも同じような傾向で勝っているが、クロック比(1.8/1.6)以上の差が出ており、同クロックではNanoの方が早いと言うことはできそうだ。

SandraのCPUテスト

Sandraではキャッシュ&メモリテストも行ってみた。L1キャッシュの領域で、Nanoの高速さが目を引く。アプリケーションによっては、この差が影響してくる場合もあるだろう。ちなみにNanoのキャッシュはL1/L2とも16-way associativityで(C7はL1が4-wayでL2が32-way)、AMDと同じくexclusive方式になっている。

キャッシュ&メモリテスト。L2キャッシュのあたりは、NanoもAtomもほぼ同じ

Futuremark PCMark Vantage

次はPCMark。最新のVantageでは総合ベンチマークソフトになってしまい、CPU性能のみの項目は出ていないが、より実用的な傾向を見ることができるだろう。

PCMark Vantageの結果

ここでもNanoはC7よりも大幅に良いスコア(PCMarkスコアで1.5倍)を出しており、個別に見ると、「Music」や「Communications」の項目での向上が目を引く。Atomに対しては少し上回る程度だが、このテストはグラフィック性能の影響もあるので、この結果からCPU性能を論じることは難しい。ただ「Productivity」では比較的大きな差(1.3倍)が開いた。

Futuremark 3DMark06

3D性能はどうだろう。チップセット内蔵のグラフィックコアが異なるので、Atomのスコアは参考程度にしかならないが、同じChrome9 HCコアを使用しているNanoとC7で、どのくらいの性能差が出るのかは興味深い。

3DMark06の結果

結果は、3DMarkスコアで1.54倍、SM2.0の項目で1.55倍、CPUの項目で1.9倍の向上が見られた。CPUの性能向上によって、グラフィック性能も引っ張られていることが分かる。

アップル iTunes

iTunesでエンコード処理(AIFF→AAC/128kbps)に要する時間を比較してみた。秒数の比較なので、数字が小さいほど処理能力が高いことを意味する点に注意して見て頂きたい。

5曲分(1,315秒)のエンコード時間

このテストではNanoとAtomで大きく差が開いた。今回のベンチマークでこれほどの差がついたのは初めてだが、アプリケーションの処理内容によっては、このくらいの差が出ることもあるということだろう。

消費電力

上記のベンチマークテストの時に計測した消費電力が以下のグラフだ。ワットチェッカーを使い、電源ユニットのAC側で計測している。マザーボードが異なるので、Nano/C7とAtomを単純に比較はできないが、アイドル時からの増加幅は参考になるはずだ。

各システムの消費電力(最大値)

高負荷時に、Nanoの消費電力が20W程度増加しているのに対し、Atomの増加分が3~5W程度に抑えられているのはさすがだ。Atom 230のTDPがわずか4Wということも頷ける。3DMark時の増加分が10Wと大きいが、これはチップセット内蔵のグラフィックコアの消費電力が増えている影響が大きいだろう。

NanoはC7と比較しても消費電力が大きくなっているが、参考までに、Sandra実行時のワット当たりの性能を出したのが以下のグラフ。多少消費電力が増えても、その分処理を速く終わらせることができれば、結果として省電力になることもあるので、消費電力の大小だけを見て、一概に優劣を決めることはできない。また今回は最もTDPが大きいL2100を使用したが、バランスの良さでは1.6GHz/17WのL2200あたりも気になるところだ。

Sandra実行時のワット性能の比較