ここ1年以上にわたって純増数で1位を獲得しているソフトバンクだが、それでもまだ市場シェアは2割を切っており、まずはシェアを拡大してNTTドコモ・KDDIの2強に肩を並べる必要があると松本副社長。最初にやることは料金を下げることで、現時点のシェアであれば値段を下げて失うものよりも得られるものが多いという。約50%のシェアを持つドコモであれば失うものの方が多いという方法で、まずはシェアを拡大し、徐々にユーザー価値を上げていく戦略だ。

こうした価格戦略に加えて重要なのが端末戦略だ。ユーザーが端末に重視するのは機能と価格、そして「長らく注目されなかった」(同)要素がデザインだ。デザインは、情動的な要素が大きいが、ソフトバンクはユーザーの興味にできるだけ細かく対応していく考えだ。例えばそれまで1モデル3色展開が多かった業界で24色という豊富な本体カラーを用意。「今までの日本(の携帯事業者)のやり方は不必要なことまで決めすぎた」(同)が、端末メーカーに自由にやってもらおうと考えているのだという。

その好例がディズニーモバイルであり、iPhoneだった。「アップルの哲学は支持し、販売、サポートは万全の協力をする」(同)という考え方だったそうだ。

そのiPhoneだが、料金プランとしてパケット定額の加入を義務づけた。これに対して「パケット定額を義務にしないとAppleが(iPhoneを)売らないのか」という批判があったようで、松本副社長は「iPhoneを使う人はネットアクセスが楽しみなのだから、むしろ定額に入らずに(データ通信料が)10万円になってしまったというのが怖い」と話す。つまり、iPhoneを買うユーザーを想定した結果、定額を義務化したのだという。

iPhone 3Gは、端末料金を分割して支払い、その分通信料を値引きしている。これは同社のほかの端末と同じ販売の仕方。海外でもこうした2年縛りでの販売方法は一般的

松本副社長はiPhoneの特徴の1つであるApp Storeについても触れ、世界中に販売できる点でソフトベンダーに魅力があると強調。ソフト販売収入の3割がAppleの収益となるが、これに関しては「高いという声もあるが、むしろ安いという人もいる」(同)。

ただ、この収益はこれまでの日本のビジネスモデルを介さないため、すべてAppleの収入となる。松本副社長は「悔しいといえば少し悔しいが、Appleが開発したものだから」と少し本音をにじませる。それでも、日本ではアプリを作成するにも携帯事業者とアプリ開発ベンダーとの間で協議が入るため、それに比べれば効率がいいと指摘する。