Serial Attached SCSI (SAS) の基本(1)

レガシーSCSIミドルウェアのサポート

パラレルSCSIと比較するとき、前回述べたように、SASは実装済みの豊富なレガシーのSCSIミドルウェア資産を維持することができる。ソフトウェアの保全という点は、パラレルSCSIの長年の成功に欠かせない要素であったが、他のインタフェース代替手段からSASアーキテクチャを際立たせる主要な要素でもあった。高価なカスタム・ソリューションを使用せずに過去から未来への橋渡しをすることができる点が、SASがパラレルSCSIを短期間で凌駕するにいたった重要な側面となった。

より高い信頼性:ポイント・トゥ・ポイントとデュアルポート

ファイバ・チャネルと、記憶にも残らないうちに忘れ去られたSSA(Serial Storage Architecture)の市場での経験から、どんなループベースのトポロジよりもポイント・トゥ・ポイントのストレージ・アーキテクチャの方が信頼できるということは、ほぼ誰の目にも明らかであった。ポイント・トゥ・ポイントのアーキテクチャは、全体的に、初期化もトラブルシューティングも保守も、より簡単であることが実証されていた。SASは従って本質的にポイント・トゥ・ポイントでなければならず、そのトポロジは比較的多数の接続への拡張を可能にするメカニズムを備えている必要があった。

また、エンタープライズ・システムでは、ストレージへの1つのパスが使えなくなった場合のために、フェイルオーバー機能が必要であることが知られていた。ここでもファイバ・チャネルのデュアルポート機能が成功し、SASにおける基本的なフェイルオーバー・モデルとして採用された。さらに、幸運なことにSASで、キー付きのSATAコネクタを活用したデュアルポート機能を提供できるという効果的な方法が見つかった。この方法により、もともとのSATAプラグとの互換性を保ちながらフェイルオーバー機能を簡単なやり方で提供することが実現することとなった。

SATAとの共存

SASはSATAインタフェースを取り入れることによりOEM各社とエンドユーザに高い価値提案をすることとなり、アーキテクチャ内に直接的なSATA互換性を持つ唯一のエンタープライズ・ストレージ接続となった。

フル二重化と前述のデュアルポート化のような先進的な機能を提供しながらSATAと同じコネクタピンの割り当てを共有するこの能力は、SASとSATAのドライブを同じドライブエンクロージャ内で使用できるのみならず、マルチユーザの大規模ニアラインSATAストレージ実装においてSATAの大幅な拡張を可能にする業界標準の方法となる。

さらにこの能力は、顧客がシステムを購入した時点で固有の顧客ニーズに合わせて迅速にシステム構成を設計するシンプルな手段を、サーバOEM各社に提供する。業界標準で高容量の全ユニット構成部分を生かしながら、この高レベルな機能を提供できるため、OEM各社は広範な顧客要求事項に応じて、拡張可能なカスタマイズされたストレージ・ソリューションを提供することができるようになる。SASに固有のこの性能はストレージ市場にこれまでにない水準の効率性をもたらすもので、この事実に市場はようやく気付き始めた。

SASバックプレーンコネクタ – SAS & SATAドライブ両方に対応

SATAは当初、小規模な拡張環境のために設計されたため、電気的仕様は主にケーブル配線による実装に適している。