【レポート】
ワイヤレス関連の総合展示会「ワイヤレスジャパン 2008」の初日となる22日、KDDIの技術渉外室企画調査部・小林修氏が同社の次世代通信について講演。3.9Gと呼ばれる次世代通信に対してのKDDIの考えについて語った。
小林氏はまず、国内の携帯電話市場について概観。携帯電話は1億台を超え、インターネット対応携帯電話も8,000万台を超えている(いずれも今年3月末時点)。その上で小林氏はインターネット全体のトラフィックを解説する。今年2月の総務省の調査では、トラフィックの平均は812.9Gbpsであり、ここ3年で約2.5倍に伸びた。
ただ、小林氏は「1人あたりのデータ量が問題」として同社のau one netのトラフィックを示す。下りトラフィックの総量はここ2年で2倍になったが、P2Pは全体での割合は減少しており、HTTP/Streamingのコンテンツが増加傾向にあった。上りトラフィックはP2Pが全体の約8割を占有しており、増加傾向にあったという。
携帯インターネットのEZwebでは、1人あたりのトラフィック量がここ3年で約2倍に増加。固定系は2年、携帯系は3年で2倍に増加しているということで、「携帯が固定を追いかける形」と小林氏。
固定系のトラフィックの増加には、iTunes、YouTube、ニコニコ動画といった大容量コンテンツの普及が一つの要因として上げられ、小林氏は新たなサービスが登場してそれが普及することによるトラフィックの変動を注視する必要があると指摘する。ただ、その予測は困難だと小林氏。固定系の大容量コンテンツが携帯向けにも浸透すれば、さらなる高速化・大容量化が必須だと主張する。
携帯電話の通信方式(3G)は、NTTドコモらのW-CDMA(3GPP)とauのCDMA2000 1X(3GPP2)という2つの方式があるが、ともに少しずつ仕様を追加して高速化を図ってきており、データ通信の強化のために現在、3GPPではLTE、3GPP2ではUMB(Ultra Mobile Broadband)と呼ばれる仕様が存在している。
UMBは、CDMAをベースとした通信方式をOFDMAに発展させ、20MHzの帯域幅で下り最大288Mbps、上り最大75Mbpsを実現。MIMOを投入するなど、通信速度の高速化を図っている。遅延と接続時間も減らし、VoIPサービスへの適用にも適しているという。
このOFDMAとMIMOの技術は、3GPPのLTEやWiMAX、さらに4GのIMT-Advancedにも使われる技術で、「次世代方式の技術トレンド」(小林氏)なのだという。
さて、3GPP2陣営のKDDIは、3.9GではUMBを採用するのか、というとこの辺りには言葉を濁す小林氏。海外の携帯電話事業者の多くはLTE採用の方向性であり、UMBもLTEも、IPベースのネットワークアーキテクチャで大きな違いはないのだという。
3Gから3.9Gへ移行するにあたって、IPネットワークのUMBと回線交換の3G(CDMA2000 1XやEV-DO)を共存させるための技術要件が定められているが、下位互換性を確保するためにはUMBの方しか選択肢がないのか、というとそうでもない。
UMBと同じようにLTEでも、3GPP2の3G通信方式と共存させることができるのだ。そのためKDDI側では、3.9GとしてLTEを採用しても、LTEのエリア外になったらシームレスにEV-DO通信に接続する、ということが可能になっている。つまりKDDIでは、3.9GでLTEとUMB、どちらを選択しても構わない、という状況なのだ。
小林氏は、次世代通信方式に求められるものとして、ビット単価の低減、通信速度の向上、品質の向上の3点を挙げ、「さまざまな可能性を追求している」(同)ところだという。
同社は、携帯、固定、CATV、WiMAX、固定網のオールIP化などのFMBC(固定・携帯・放送の融合)による「ウルトラ3G構想」を掲げ、競争力強化を狙って独自サービスの構築に取り組んでいる。将来的には携帯網のIP化、SDP(Service Delivery Platform)の提供、LTE/UMB、IMT-Advancedなどに加え、auの3,000万ユーザーに対してIP網で音声着信を提供しようとすると「IPv4では足りない」(同)ため、IPv6化も必要だという。
「(携帯)ユーザーの伸びは鈍化しているが、トラフィックは飛躍的に伸びている。これに対処する次世代が必要だ」として、小林氏はFMBCサービスの提供を目標に次世代通信に取り組んでいく意向を示した。
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