NHK朝の連続テレビドラマ小説『わかば』(2004年)でいつも笑顔を絶やさないヒロイン・若葉を演じた女優と言えば、老若男女知らない人はいないはず。最近では、資生堂『TSUBAKI』のCM、ドラマ『ハチミツとクローバー』(フジテレビ系)に出演した原田夏希が、この夏、ミュージカルに挑戦する。韓国でいまだロングランを続けるミュージカル『サ・ビ・タ~雨が運んだ愛~』(以下、『サ・ビ・タ』)日本版に出演する彼女が新たな挑戦への想いを語ってくれた。

『サ・ビ・タ』との出会い

原田夏希
1984年7月7日生まれ。静岡県出身。AB型。NHK連続テレビドラマ小説『わかば』(2004年)のヒロインで、本格的に女優デビュー。以後、『世にも奇妙な物語 秋の特別編』(フジテレビ系 2006年)、『木曜時代劇 陽炎の辻』(NHK総合 2007年)、『ハチミツとクローバー』(フジテレビ系 2008年)などに出演。最新出演作は、大河ドラマ『篤姫』(NHK総合ほか/琴仙子役、10月5日放送~)、映画『イエスタデイズ』(11月1日ロードショー)
撮影:糠野伸

昨年秋に一人旅で2週間ほどNYを訪れたという彼女。そこで観たミュージカルに感銘を受け帰国したのも束の間、絶妙のタイミングで『サ・ビ・タ』出演の話が舞い込んできたという。

原田夏希(以下、原田) : 「ちょうど役者として、"声"が大切だと感じていたときだったので、ミュージカル出演のオファーは運命的でした。それも韓国で13年間ロングランとなっている公演が初めて日本で上演されるという"歴史的瞬間"に立ち会えるならば、ぜひ挑戦したいと思ったんです」

"家族愛"をテーマとした物語はすれ違う2人の兄弟の家に、原田が演じる女性、ユ・ミリが迷いこんでしまったことから始まる。1995年の初演以来、役者を変えて3,000回以上も上演されている同作品を本国韓国で観た彼女の感想は「完成された舞台」だった。

原田 : 「周囲の人から公演の感想を聞いていたのですが、百聞は一見にしかず! ですね。韓国語は挨拶程度しかわからないけれど、キャストやスタッフと観客が一緒になって13年の間に築きあげた舞台には、言葉の壁を越えて圧倒されてしまいました。何よりも自分がこれから演じる役についてのイメージがクリアになったのが大きかったですね」

舞台に立つのは2005年の『わかば』以来、今回が2回目。歌も踊りもあるミュージカルは初挑戦となる。

原田 : 「舞台版『わかば』のときは、全てが初めてのことばかりで楽しむ余裕がなかったですね。毎日、"自分のやっている公演をきっちり終わらせること"が第1目的だったくらい(笑)。でも今回は、舞台上での空間の使い方や表現方法といった細かい部分を追求していくことを楽しめている自分がいます」

とはいえ、テレビを中心として活動する彼女にとって、舞台で演じることには戸惑いもあったようだ。

原田 : 「ドラマの撮影はシーンごとに撮っていくので、そこに注ぎ込む集中力は火花みたいに瞬間的なもの。でも、『サ・ビ・タ』では100分間という時間を駆け抜けられる集中力が必要なんです。普段よりも更に神経を使っているせいか、歌って踊ってお芝居することがこんなにもエネルギーがいることなのか! って思います」

『サ・ビ・タ~雨が運んだ愛~』あらすじ


ある雨の晩に久しぶりの再会を果たした兄弟のドンウク(駒田一)とドンヒョン(山崎育三郎)。そこに突如、奇抜な格好をした若い女性・ミリ(原田)が迷い込み、歌い踊りだす。イベント会社から結婚パーティーを盛り上げるために派遣されてきた彼女は、訪れる家を間違ってしまったのだ。ドジばかりで落ち込むミリを、ドンウクとドンヒョンは励ます。そのうち、すれ違っていた兄弟の心に変化があわられ……

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