【レポート】

「草薙素子に永遠の愛を」-『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』初日挨拶

 

12日、アニメ映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』が公開された。押井守監督の最新作『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』の公開を記念して制作された本作は、1995年公開の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を、押井守監督自らが全編フルリニューアル。映像面では新たにCGで作成されたカットが随所に挿入され、全編にデジタルエフェクトを追加。音楽も前作を担当した川井憲次が新たにリミックス。音響もスカイウォーカー・サウンドにてアナログ4chから、デジタル6.1chに再構築されている。

<ストーリー>
西暦2029年――高度な情報化ネットワーク社会の中で、より高度に凶悪化していくコンピューター犯罪やサイバーテロに対抗するため、政府は精鋭サイボーグによる非公認の超法規特殊部隊、公安9課/通称「攻殻機動隊」を組織した。ある日某国情報筋から公安9課に国際手配中のテロリスト"人形使い"が日本に現れるという警告が発せられる。情報をキャッチした草薙たちは、犯罪の中に見え隠れする"人形使い"の影を追い始める。

公開初日の12日、立ち見も出る満席となった新宿ミラノ2では、押井守監督ほかメインキャストによる舞台挨拶が行われたので、その模様をお届けしたい。

田中敦子(草薙素子役)

草薙素子役の田中敦子。「こんなすばらしい作品に長い間携わらせていただいたことは本当に幸せに思っています」

劇場で公開になりましてから、あっと言う間に10年以上経ちまして、こうしてまた草薙素子がスクリーンに戻ってまいりました。草薙素子って、私にとっては長く付き合ってるんですが、なかなか本性を見せてくれない恋人みたいな存在で、どこか遠くへ行ってしまいそうな危うい存在ですが、必ず私の元に戻ってきてくれる、そういう人です。いつも素子が私の耳元で『私の帰るところはあなたのところよ』ってささやいてくれている気がします。

最初は気負いもあったんですけど、相手役は大塚さんだし、榊原さんだし、そのまんま気持ちに乗っかってぶつけていくのが一番いいんじゃないかなと思いまして、当日はアフレコを楽しんでやろうと、そこに重点を置いてみました。すばらしいスタッフの方とすばらしい共演者の方に恵まれて、本当に感謝しています。ファンの方々に心からのお礼と、そして草薙素子に永遠の愛を。

大塚明夫(バトー役)

バトー役の大塚明夫。「とびっきり暑い日にこんなたくさんの方々に集まっていただいてありがとうございます」

本当にこんなにたくさんのみなさんに集まっていただけて、壇上の一同感激しております。今回に限って言えば同じ役をやっても、人間関係が少し変わる。人形使いが男性であるか女性であるか、本来人形使いに男性女性というのはないんでしょうけど、見え方として女性ということになったときに、やっぱり僕の役はすごく変わる部分がありました。素子との関係も少し変わってくるわけですね。嫉妬心みたいなものが非常に今回は少なくて、そのことであれこれ変えようとしなくても、勝手に変わるだろうと踏んでやってみました。僕が気をつけたのは意図して芝居の仕方をこねくり回さずに、なりでやってみようという、それが一番大きいところです。

榊原良子(人形使い役)

人形使い役の榊原良子。「私の持ってるエネルギーすべてを注いでいますので、それを感じていただけたらなと思います」

当時の声は私が尊敬する大先輩の家弓家正さんがあてられました。それを押井さんが『(今回は)女性でやりたい』とお話をくださったときに、ものすごい重責でちょっと煮詰まってしまったので、じつは哲学書も読んだりして準備しておりました。人形使いのああいうムードは大好きで、強敵の役もすごく好きなのでワクワクドキドキしながらさせていただいたんですけど、やっぱりどうしても家弓さんの存在を吹っ切るまでに時間はかかりました。家弓さんとは違う解釈で演じたつもりなんですけども、楽しんでいただけましたでしょうか?(会場拍手)。ありがとうございます。こういったすばらしい作品に、しかもすごく難しい役をさせていただくことは、演じる側にとってはとてもうれしいですし、光栄です。難しい役をいただけたら、また命をかけて演じたいと思います。

押井守(『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』監督)

この作品はいろんな意味で僕にとっては意外で、これを作った当座は単に生活に困ってやっただけですけども(笑)、作った途端にいろんな騒ぎになって、自分の作った映画のなかでは記念すべき映画ということになりました。その後13年経って、ふと『スカイ・クロラ』の制作でスカイウォーカー・サウンドに行ったときに、サウンドデザイナーに『もし僕が『攻殻』の音を作り直したいと言ったらやるか?』と言ったら、『ぜひやりたい』と言ったんです。それが最初のきっかけでした。

僕は昔の作品を作り直すとかは基本的にはやらずにきた人間ですし、たぶん今後もやらないとは思うんですが、この作品に関しては心残りがあったのは、ずいぶん評判になったにもかかわらず、意外にスクリーンでご覧になった方が少ないということでした。『ブレードランナー』という映画もじつは公開当時はスクリーンであまり見られることがなかった。それと比較するのもおこがましいけれども、『ブレードランナー ファイナル・カット』が昨年公開されたときに『攻殻』をもう1回作り直してみたいと思ったことも確かです。

押井守監督。「映画はお客さんに見られることで、繰り返し上映されることで映画足り得ると思っています。本日はどうもありがとう」

過去の作品を振り返るだけではなくて、これから自分がどんな映画を作っていくのか、それに関するブリッジでもある。僕がこの作品のなかでやりたかったことの一部には、今後のアニメーションの行方を占う演出上の試みがなされています。できるだけちゃんと未来を見据えた上でやった仕事です。(榊原)良子さんは家弓さんのことをだいぶ気にしてられましたけど、前のバージョンが消滅したわけではない。前の作品は依然として残り続けるだろうし、今回の『2.0』は現在の技術で可能なレベルにバージョンアップしたということです。

僕は基本的に作ったものは見ないんですが、今回あらためて見ると、やはりアニメーションのピークの時代に作った作品なんだなとしみじみ思いました。事実『攻殻』に関わったアニメーターたちの何割かは、その後みんな監督になってますからね。作画の力でこれだけの作品を作り上げたのは、おそらく僕にとってももはやないだろうとあらためて思いました。とは言えアニメーションは作り続けなければならないし、これからどういう作品を作っていくのかを占う時期に、この作品と『スカイ・クロラ』を同時に公開していたというのは、もしかしたらあとで振り返ったときに象徴的な出来事になるかもしれない、といまは思います。

フォトセッションから

それでは最後に本作の見どころを駆け足で紹介しておこう。『2.0』はバージョンアップだけあって、作品のストーリー自体はそのまま。本作のウリのひとつとして投入された3DCGについては、物語の要所要所やメカを中心に使われており、旧作とのマッチングが気になる人と、そうでない人とで好みが分かれるかもしれない。アニメファンに近しい例で言えば、劇場版『機動戦士Zガンダム』の旧作部分と新作部分の混在のような印象を受けた。

また作品のカギとなるキャラクター、人形使いのキャスト変更については、こちらもやはり優劣の問題ではないが、声が男性から女性に変わったことで、作品後半の印象はずいぶん異なっている。草薙、人形使い、バトーという一種の三角関係の再演は大きな聴きどころと言えるだろう。

冒頭の名シーンも3DCGに。夜景の光やディスプレイなど、旧作では緑が印象的に使われていたが、『2.0』では『イノセンス』と同じオレンジが多用されている

榊原良子が新たに声を演じた人形使い。ネットの海で誕生した生命体として草薙に接触を図る

本作は札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の全国5都市での限定公開として封切られたが、19日からは「サロンパス ルーブル丸の内」「渋谷TOEI2」という都内2館で追加上映されることが決定した。また詳細は未定ながら『スカイ・クロラ』の公開に先駆けた『イノセンス』のリバイバル上映も発表されている。『スカイ・クロラ』の公開も迫り、今年の夏は押井映画のファンにとっては見どころ続きの夏となりそうだ。

12日、劇場外にも長蛇の列が。新宿では公開2日間で4千人超を動員した。舞台挨拶には遠く鳥取から駆けつけたというファンの姿も

(c)1995・2008士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT

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