【レポート】
アドビ システムズ(以下、アドビ)は10日、報道関係者に向けて2008年度上半期(2007年12月 - 2008年5月)業績説明会を行った。Flash Media Server 3およびFlash Player 9の提供開始から、AIR 1.0/Flex 3のリリース、Photoshop Expressのβ公開、Open Screen Projectの発表など、さまざまな製品/サービスを投入してきた上半期だったが、6月から始まった下半期では、これらの技術をベースにした「ビジネスコミュニケーションの革新」「RIA」「クロスメディアソリューション」「ビジネス機会の提供」にさらに注力していくとしている。
アドビの2008年度上半期における売上実績は17億7,700万ドル。昨2007年度の通年での売上実績は31億5,800万ドルだったが、今年度は35億ドルを超えてくることはほぼ間違いない。「Adobe Creative Suite」に代表されるクリエイティブソリューションと、「Adobe Acrobat」「Adobe LiveCycle ES」などのエンタープライズソリューションの昨年度売上における比率はほぼ2:1で、「おそらく2008年度もほぼ同じ比率で推移する」(アドビ システムズ 代表取締役社長 ギャレット・イルグ氏)と思われる。
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アドビ システムズ 代表取締役社長 ギャレット・イルグ氏 |
同社の2008年度の通年での目標は「プラットフォームプロバイダとしてのポジションを確立する」だ。とくに下半期では、これまで投入してきた技術を本格展開させた製品/サービスのリリースが予定されている。すでに6月の「Adobe AIR 1.1」、そして11日から国内提供が開始された「Adobe Acrobat 9」など、意欲的な製品がぞくぞくと登場しているが、さらにこの秋には「Adobe Media Player」の日本語版を提供する予定だという。「もちろん、製品だけではなく配信可能なコンテンツも十分に揃った状態でリリースする」(イルグ社長)とのことなので、期待がかかる。
RIA(Rich Internet Application)の世界では、ほぼ"独走状態"にあると言っていい同社だが、イルグ社長は日本市場の特徴として
が「世界的に見ても際立って高いレベルにある」と語る。とくに若年層による携帯電話からの接続率の高さに言及し、インターネットにつながるあらゆるデバイス上で動作する環境とコンテンツが必要だと認識しているという。AIR 1.1のリリース、そしてOpen Screen Projectの推進などはその認識の表れだろう。
また、リッチコンテンツへの需要の高さはコンシューマにとどまらず、ビジネスの世界においても同様だ。動画が埋め込まれたPDF文書をチーム間で共有する、といったコラボレーションスタイルを実現したAcrobat 9などは、まさにそういった需要 - リッチコンテンツを介したコミュニケーションが当たり前となった時代を反映した製品と言える。
アドビは同社のリッチコンテンツ戦略を「エンタープライズRIA」と呼んでいる。ユーザインタフェースにこだわり続けてきた同社が「まずデザインありき」のアプローチで作る製品は、これまでのビジネスアプリケーションにはなかった斬新なユーザエクスペリエンスを提供するものとして注目されており、SAPによるERPへのAIRインタフェース採用などはその代表例にあたる。
そして、そのエンタープライズRIAの中心的位置付けにあるプラットフォームがLiveCycle ESだ。6月18日には初のアップデートバージョン(LiveCycle ES Update 1)が発表され、7月下旬から国内でも提供が開始される。Updete 1ではAIRとの連携機能が大幅に強化されているほか、DRM(Digital Right Management)機能がPDFだけでなくOffice/CADにも拡張されている。LiveCycle ESで開発したアプリケーションは、抜群の普及度を誇るAcrobat ReaderやFlash Playerをクライアントとして利用できるところも強みのひとつだ。
イルグ社長は会見で「super ubiquitous」「beyond PC」というフレーズを強調していた。いつでも、どこでも、デバイスを問わずに、リッチコンテンツにアクセスできるソリューションを提供する - これが同社の当面の目標だ。下半期がスタートして1カ月半、順調な滑り出しを見せている同社のビジネスだが、今後はチャネルパートナー/ソリューションパートナーとの関係を密にしていくことに加え、魅力的なコンテンツを作成する開発者たちの取り込み、そしていかに快適な利用環境を用意できるかが重要になってくるだろう。
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