【インタビュー】

史上最凶の悪役『プリズン・ブレイク』"ティーバッグ" - その中身は優しいダージリン~ロバート・ネッパーの素顔~

TVシリーズ『24 -TWENTY FOUR-』と人気を二分するタイムリミット・サスペンス『プリズン・ブレイク』。無実の罪で死刑判決を受けた兄を救うため、脱獄計画を着々と進行させる主人公マイケルと共に視聴者を惹き付けて止まないのが、魅力的なサブキャラたちだ。中でも"史上最凶の悪役"の呼び声高いティーバッグは、獲物を狙うヘビのような舌使いが大ウケし、その仕草が毎回出てくるほどファンに愛されている。この度、シーズン3のPRのため、セオドア・"ティーバッグ"・バッグウェル役ロバート・ネッパー(48)が緊急来日。単独でお話を伺うことが出来た。

遅咲きスターの仕事に対するこだわり

インタビュールームに現れたロバート・ネッパーは、若干やつれた様子。その理由を聞いてみると、意外な言葉が返ってきた。

お気に入りの映画は、『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』『サウンド・オブ・ミュージック』。『サウンド・オブ・ミュージック』で、エーデルワイスを歌うシーンを見ると、今でも子供のように泣いてしまうんだそう

ロバート・ネッパー(以下ネッパー)「インタビューの際、他の俳優は同じ答えばかり繰り返しているだろ? 僕はそれが嫌で、同じ質問をされても違った答えを返すようにしているから、疲れも増すんだと思う。でも君たちは僕の話を聞こうとわざわざ来てくれてるんだから、何とかしてその人だけのコメントをあげたいんだ

取材する側にここまで気を遣うスターは滅多にいない。彼なりのこだわりは、俳優を志した理由にも現れていた。

ネッパー「奇妙に聞こえるかもしれないけど、僕は映画が大好きだから俳優を目指したわけじゃない。僕が演技をするのは、世の中で起こっている問題、世間の声を代弁する唯一の手段だから。例えば、僕の演じているティーバッグは、差別主義者で黒人を卑下している。でも本当の僕は人種差別が大嫌いだ。だから、あえてこういう役を引き受けることで、自分なりのメッセージを世間に送っているつもりなんだよ」

シーズン1からティーバッグは黒人と諍いを起こしてばかり

スターになりたかったわけじゃない

演じることは、自分なりの自己表現だと彼は言う。

ネッパー「僕はオハイオの小さな町出身なんだけど、ここに一生いたくない、ここで終わりたくないと思っていた。僕は有名な俳優についての伝記本を読むのが好きなんだけど、皆同じことを考えているんだよね。何か違ったことをしたいという思いを抱えて舞台に立ち、人々を笑わせたりすることで心が満たされるんだ

『プリズン・ブレイク』のレギュラーを掴むまで役に恵まれなかった彼だが、俳優を辞めるという選択肢は最初から頭になかった。辛く長い下積み時代をどんな思いで過ごしたのだろう?

ネッパー僕はスターになってお金を儲けたいという気持ちで俳優になったわけじゃない。クリエイティブなことが好きだから、この仕事をしているんだ。厳密に言うと、俳優は脚本家が作り上げた役を再現することしか出来ないけどね。TVドラマのゲスト出演、インディペンデント映画の主演、メジャースタジオで製作する映画の脇役……今までいろいろな役をやったけど、その大きさは関係ないと思っている。クリエイティブな仕事をしているという自負があるからね。確かに2・3回、くじけそうになったこともある。でもその際に"他に何の仕事が出来るのか?"と自問自答してみると、何も思い浮かばなかった(笑)。夢を持ち続けて俳優を続けたというより、他にすることがなかったから、という感じだね」

バッドガイになればなるほど、ファンが増えていくティーバッグ。シーズン3では、女性を庇うという優しい一面も垣間見せる

素顔は、スマートで優しい子煩悩パパ

凶悪犯ティーバッグ役のイメージが強いロバートもプライベートでは一児の父。撮影の合間に息子へ絵を書き、FAXで送っているというエピソードがあるほど、子煩悩で有名だ。

息子へ送るイラストを説明する際に、高級ホテルの備品デスクに油性ペンで絵を描き始めたロバート。取材に立ち会っていたスタッフが大慌てで白い紙を差し出す一幕も

ネッパー「『プリズン・ブレイク』の仕事が決まった時、僕はロサンゼルスに住んでいたんだけど、撮影はシカゴだった。当時はこのドラマがいつまで続くか分からなかったし、息子は3歳でプリスクールに入ったばかりだったから、転校させるのはかわいそうだと思い、単身赴任することにしたんだ。僕は3週間ごとにシカゴに飛んでいたけど、息子ともっと一緒にいてあげたいと思っていた。その悩みをある人に相談したら、絵を書くのがいいとアドバイスされた。それで、スーパーヒーローなどの絵を書いて、息子へFAXを送ることにしたんだ。FAXで送った絵は、もう500枚くらいになるかな。毎日5時になると、例え人を殺すシーンを撮影していたとしても"ヤバイ! 息子にFAXを送る時間だ"と言って中断してもらってFAXするんだ。あまり遅くなると、息子が寝ちゃうからね」

生き残るためなら、他人の命を奪うことも厭わない危険人物を演じるにあたって気を付けているのは、「自分を見失わないこと」。オンオフの切り替えがスムーズに出来るのは、愛する家族の存在が大きいようだ。

ネッパー「シーズン1の時は単身赴任だったけど、とてもハードなシーンが多かったから、逆に1人でよかったと思う。その後のシーズンはダラスで撮影したから、家族を呼ぶことが出来た。特にシーズン2は人を殺すシーンが多かったから家族と一緒でないとあの撮影は乗り切れなかったと思う。ティーバッグは強烈なキャラクターで、役に入り込みすぎると気が狂いかねない。夜にハードな撮影を終え、2~30分運転して帰る時間に心を落ち着けるんだ。そして自宅に着くと、子供が"パパ"と叫びながら僕に駆け寄ってくる……それが一番の気分転換になった。家族がいて、本当によかったと思うよ」

ティーバッグの吹替えを担当しているのは、『サザエさん』のアナゴさん役でお馴染み若本規夫氏。来日して初めて吹替えがあることを知ったロバートは、御大とぜひ会ってみたいと語っていた。次回の来日では、日米ティーバッグの対談が実現するかも!?

ロバート・ネッパー

1959年7月8日生まれ アメリカ、オハイオ州出身 48歳

TVドラマ『The Paper Chase』('78)で俳優デビュー。『D.O.A.』('88)、『スピーシーズ3 禁断の種』('04)、『ホステージ』('05)とキャリアを重ねるも注目されることはなく、不遇の時期を過ごす。『プリズン・ブレイク』('05)のティーバッグ役で人気、知名度共に急上昇。最新作『トランスポーター3』('08)では、準主役級で出演している。現在撮影中の『プリズン・ブレイク』シーズン4同様、更なる活躍が期待される遅咲きのスター
『プリズン・ブレイク』シーズンIII

看守のいない無法地帯SONAに収容されたマイケルを助け出そうと画策する兄リンカーンの元に謎の組織が接触。サラとLJの身と引き換えに、SONAの囚人ウィスラーを探し、脱獄させるという条件を突きつけてくる。マホーン、ティーバッグらそれぞれの思惑が錯綜する中、マイケルはサラとLJの為に、脱獄を試みるが……。米脚本家組合のストの影響で、13話に短縮されたものの、濃い展開で一気に見せる待望の新シーズン。

『プリズン・ブレイク』シーズンIIIコレクターズBOXは初回限定生産10,290円で8月13日発売。レンタルは7月2日より順次スタート。

『プリズン・ブレイク』シーズンII DVDコレクターズBOXも7月2日発売(12枚組/21,000円)

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