セカンドライフ(Second Life)のメタバースでは、いろんな人との出会いがあります。セカンドライフにアクセスする理由では、きっと上位に「誰かと友達になるため」という答えが多いことと思います。実際にこの仮想世界では友達はおろか、リアルライフでの恋人や伴侶まで見つけてしまう人もいるようです。

アバターの姿と現実はギャップがあるけど、それでも……

(筆者の友人の友人の)ポーランド在住のLolita Nomuraさん(女性)とオランダ在住のPhantium Longwellさん(男性)は、客観的に見て、目下アツアツの恋愛中です。国境を超えた長距離恋愛のいきさつをNomuraさんに聞いてみました。

「セカンドライフを始めたきっかけは、MySpace(SNS)で知り合った外国の友達が、すごく面白いものがある、と教えてくれたからです。でも、アカウントを取得してみても、特にやりたいことも見つからなかったので、しばらく離れることにしました。その後、またアカウントを取り直して再開したのですが、それからは(セカンドライフ内の)モデルとしてファッション業界のキャリアを積んでいます。

セカンドライフは発達したコミュニティなので友達くらいはできるかな、とは思ってましたが、ボーイフレンドはまったくの想定外。彼とセカンドライフでのパートナーになったときも、それがリアル(現実)のことになるなんて思ってもみませんでした。

セカンドライフで彼に初めて会った場所は、Welcome Area(SL登録者が最初に訪れる場所)です。ときどき一緒にブラブラできたら楽しいだろと思って友達登録したのが1年ほど前です。第一印象は……、彼はオランダ人でいつも冗談ばかり言ってるけど、でも、思いやりがあって、期待を裏切るようなことをする人じゃなくて、なんだか猫みたいな人(笑)。いろんなことをお互いに話すようになり、2007年12月にはセカンドライフで結婚式をあげて、それからずっと一緒です」

Lolita NomuraさんとPhantium Longwellさんのセカンドライフでの結婚式。たくさんの友人たちが、お祝いにきたそうです

ずっと一緒――現在はセカンドライフではもちろん、メールのやりとり、Skypeで話したり、遠出して直接出会ったりと、ポーランド-オランダ間の遠距離恋愛真っ最中のようです。

ところで、セカンドライフというと、最初の出会いはアバター姿。これって、リアルな世界に展開する人間関係の第一印象としてマズくないんでしょうか?

「アバターと現実の姿とにギャップがあるのは当然ですよね。セカンドライフでは、自分の理想の姿のアバターになれるけど、現実では無理ですから。でも、どんなアバターよりも現実の人間のほうがわたしには魅力的なんです」

Nomuraさんの感想をおばさん的にホンヤクするなら、「好きだ嫌いだを決めるのは姿形じゃなくて、相性なのよ、心なのよ、性格なのよ」ということなんでしょうか。不躾な質問にもお答えいただいたNomuraさんに心から感謝です。遠くの国から、おふたりの幸せをお祈りしてます。