海釣りには、砂浜や防波堤から竿を出す岸釣りや、乗り合い船に乗って沖へ出る沖釣りのほか、レンタルボートを借りて穏やかな湾内で釣りを楽しむボート釣りという選択肢もある。ボート釣りの利点は、岸釣りでは仕掛けが届かない沖にいる魚が釣れること。そして、沖釣りのように出船や帰港時間が決められておらず、他人と乗り合わせることもないので、気ままに釣りを楽しめることだ。今の時期は天ぷらネタとして最高のシロギスが釣れるとの情報を得て、釣り初心者の編集者A(女性)を引き連れて、三浦半島の葉山の海へ出かけてみた。

レンタルボートで海に出よう

今回向かったのは葉山の森戸海岸。砂浜に磯が点在する森戸海岸付近では、シロギスはもちろん、アオリイカやアジ、サバ、真鯛、カワハギなど、ポイントや釣り方次第で色々な魚を狙うことができる。ボートは同海岸の小松ボートでレンタル。手漕ぎでは疲れてしまいそうな沖に行きたい場合は、モーターボートで引き船をしてくれるサービスも行っている。

まず、無料で借りることができるライフジャケットを着用する

ボートは砂浜から出船するので、足下を濡らしたくない人は長靴やサンダルを用意しておこう

水深の浅い場所で釣れるシロギス狙いなので、船を10分ほど漕いた近場にポイントを構えて、備え付けのアンカーを下ろす。アンカーのロープは水深の3倍ほど出しておかないと、ボートが流されてしまうので注意しよう。

アンカーを下ろしたのは、このような磯場の沖の砂地。シロギスは砂地に住む魚だが、磯場の近くなら他の魚を狙うこともできる

ボートでのシロギス釣り仕掛け

シロギス釣り用の竿も販売されているが、今回はトラウト釣りなどで使うルアー用ライトアクションのロッドで代用。リールもルアー釣り用に購入した小型スピニングリールだが、ラインはボート釣り向きのPEライン1号に巻き替えている。あとは、市販のボート釣り用シロギス仕掛けと天秤、オモリをセットすれば完了だ。針にエサのアオイソメを付けて、ボートから少し離れた海へ仕掛けを投げ込もう。小松ボートでは竿とリールのレンタルや、仕掛けやエサの販売も行っているので、手ぶらで行っても大丈夫だ。

市販品の船・ボート釣り用のシロギス仕掛け。水底の岩などに釣り針やルアーが引っかかる「根がかり」を起こしたり、絡まった時のために多めに用意しておこう

天秤も船・ボート釣り用の製品が市販されている

異なる重さのオモリを用意して、水深や潮の流れの速さなどによって使い分ける。この日は6号、10号、15号を用意し、主に10号を使用した

エサは小松ボートでも販売しているアオイソメを使用

仕掛けの全体図。船やボートでのシロギス釣りの標準的な仕掛けだ

いきなりシロギスが釣れました!

1投目で、なんなくシロギスをゲットしたAさん

ボートと仕掛けの準備ができたので、早速釣りを開始する。まずは、編集者Aに仕掛けの投入方法と、投入後にゆっくりと竿を立てて誘いをかける方法をレクチャー。しかし、教えている最中にアタリがきてリールを巻き始め、あっさりとシロギスをゲットしてしまった。

比較的簡単な釣りとはいえ、意外なほど速い展開にびっくりだ。その後も、連続してアタリが続いたが、針掛かりしないことも多くて、3回のアタリに対して1回くらいの確率で魚が釣れた。釣れる魚はシロギスばかりではなく、こちらも天ぷらネタになるメゴチのほか、ベラやヒイラギなども混じる状況だった。

シロギスとベラの一荷(一度に2匹かかること)。磯場の近くに釣り座を構えたので、砂地に住むシロギスと磯場を好むベラが同時に釣れた

エラの上に刺があるメゴチ。手で捕まえずに「メゴチバサミ」で魚を挟み込むこと

ヒイラギもシロギスと一緒に良く釣れる魚だ。ひれに刺があり、粘液が多いので注意しよう

鋭い歯を持ち、簡単に釣り糸を切ってしまうクサフグ。針が無くなっていたら、この魚の仕業だ

十分に釣ってお昼過ぎに納竿

ある程度の数が釣れたところで、納竿(釣りを終了すること)とした。8時頃から始めて12時過ぎまでの釣りだったが、初心者の編集Aはシロギスやメゴチを合わせて10匹ほど釣り、天ぷらにするには十分な数を確保。落水や船酔いといったトラブルもなく、のんびりとシロギス釣りを満喫した1日となった。

この日の2人の釣果。大きいもので17cm程のシロギスが釣れた。シロギス釣りはこれからが本番で、100匹を超えるシロギスを釣るベテランもいるそうだ

最後にボート釣りの諸注意

穏やかな湾内での釣りとはいえ、大自然が相手となるので何があるかわからない。ボート屋で借りたライフジャケットは必ず着用し、落水を避けるためにボートの上で立ち上がることは避けてほしい。また、沖に流されてしまった時や引き船で沖に出た際の連絡用に、携帯電話を持って行こう。肝心な時に携帯電話が濡れて役に立たなくなる可能性もあるので、耐水タイプを用意するか、防水ケースに入れるなどの対策も必要だ。そして、14時30分が海上からの戻り引き船の最終時間となっているので、それまでには帰れるように早めの準備を心掛けよう。