マナーや品格を解説した本がベストセラーになっている昨今。ビジネスの場においても最低限のマナーは知っておきたいものだが、食事中のお作法も見落としがちだが実は接待の場等で大切になってくる。フランス料理や中華料理にも"お約束"はあるのだが、私たち日本人にとって身近な存在であるはずの日本料理が最も敷居の高い存在になってはいないだろうか。そこで今回は、京王プラザホテルが開催するマナー教室「懐石<蒼樹庵>の女将に学ぶお作法講座」の様子をレポート。これで接待もうまくいく!?

「懐石<蒼樹庵>の女将に学ぶお作法講座」は、実際に懐石料理を楽しみながら日本料理に関する知識やマナーを学ぶという内容。場所は同ホテル内の懐石<蒼樹庵>の和室で、教えてくれるのは現代日本料理食卓作法講師の資格を持つ女将・野口美智子さん。同講座は春夏秋冬の四季に合わせて4回開催され、各回の定員は20名。すでに各回はほぼ満席だとか。受講料は懐石料理の料金込みで1名13,000円。今回レポートする1回目の料理テーマは「薫風」で、以下のような献立となっていた。

座付き 黒豆の豆乳
先付け 豆腐の西京味噌漬け 皐月鱒香味漬け いくら 白瓜
椀もの 冷製スープ仕立て 地鶏照り焼き 赤梅甘露煮と黄味素麺 アスパラ ヤングコーン 紫蘇 振り柚子
お造り 本日の産地直送 地魚二点盛り 妻一式 芽もの 山葵
鉢肴 若鮎の塩焼き 沢蟹あられ揚げ 杭牛蒡 蛇腹蓮根 蓼酢
中皿 国産黒毛和牛湯引き 有機の元気野菜 味噌ドレッシング
蓋もの 太刀魚と生雲丹博多 若布豆腐 細隠元 枸杞の実 竹麩 銀餡
留肴 鮎並と貝柱の葛打ち 蓼菜 諸胡瓜 二色白玉 梅肉 うめ酢
食事 新生姜の釜炊きご飯 香の物 赤出し
水菓子 完熟シュガーとまとワイン煮 パパイヤ クリーム 香母酢ゼリー

受講者は会場を見渡すと、女性の中に男性の姿も。同ホテル担当者に聞くと、「接待で和食をいただく際に自分のマナーが気になるというビジネスマンの方からの問い合わせも多くいただいております」とのこと。講座が始まると野口さんと料理長の園部政視さんから挨拶があり、懐石料理が供されていった。ここからは、講座中に野口さんから説明があったお作法の中からいくつかをピックアップし、その解説をしつつレポートを進めていく。

会場の様子

手皿はNG!!

まずはお箸の持ち方を解説

まずはお箸の持ち上げ方。右手で箸を掴んで持ち上げ、左手を添えて一瞬両手で持ち、左手で支えている間に右手を通常の位置に持ちかえる。「よく手皿をしている方がいますが、これは避けましょう。もしするなら懐紙を用いてください」と野口さん。手皿はNGだが、器は手に持てる大きさなら手に持ってもよいとのこと。「その方が顔も上がって背すじも伸びてきれいに見えます。また、湯のみ茶碗、お茶碗、吸い物椀など"椀"の付くものは手に持っていただきましょう」。

そして、小皿は食べやすい位置に動かしてもOK。ただし、動かす際は両手で。小皿に盛られている料理を持ち上げて食べる際は、まず両手で小皿を持ち、次に右手を外して右手で箸を取り上げる。左手の中指などを使って箸を持ち直し、小皿の料理をいただく。そして、箸を置く時は必ず箸置きへ。