【レポート】

Microsoft製デザインツール「Expression Studio 2」の特徴と新機能

1 デザイナーの創造力をアプリケーションの世界に取り込む6ツール

    星原康一  [2008/06/16]

    今月4日、デザイナー向け制作ツールスイートの新版「Microsoft Expression Studio 2(以下、Expression Studio 2)」が7月18日より発売されることが発表された。アドビ システムズのクリエイティブツール群を視野に収めつつ、WPF(Windows Presentation Foundation)、SilverlightといったWeb関連技術との融合を進める同製品群は、今回のバージョンアップでどのような進化を遂げたのか。本稿では、マイクロソフトが開催した製品説明会の内容を基に、各製品の特徴、および新たに取り込まれた機能について紹介していこう。

    デザイナーの創造力をアプリケーションの世界に取り込む6ツール

    Expression Studio 2は、以下の6つのソフトウェアによって構成されるツールスイートだ。

    • Expression Blend 2 : WPF/Silverlightアプリケーションのオーサリングツール
    • Expression Web 2 : Webオーサリングツール
    • Expression Design 2 : ベクタグラフィックスツール
    • Expression Media 2 : デジタル資産管理ツール
    • Expression Encoder 2 : ビデオエンコーダツール
    • Visual Studio 2008 Standard : .NETアプリケーション向け統合開発環境

    これらのうち、Expression Encoder 2は、前バージョンでExpression Media 2の一機能として提供されていたものである。今回より、Silverlight向けの編集機能を搭載したビデオエンコーダとして切り出された。

    Expression Design 2を除く5製品については、単体での販売も行われる。また、Visual Studio 2008 Standardは、昨年12月に発売が開始された、.NETアプリケーション向けの統合開発環境であり、こちらはデザイン作業に続いて行われる開発者への引継ぎや、コーディングの際に活用される。

    以下、Visual Studio 2008 Standardを除くデザインツールに焦点を絞り、製作作業の初期に使われるものから順に紹介していこう。

    Expression Encoder 2

    マイクロソフト エバンジェリスト 大西彰氏

    Expression Encoder 2は、前述のとおり、今回より製品として独立したビデオエンコーダツールである。さまざまな動画ファイルをクリック1つでSilverlightアプリケーションやVC-1に変換することが可能だ。

    今回の強化ポイントの中で特に目を引くのが、エンコード前後の映像を左右に並べて比較できる機能である。動画をWeb上で配布するうえではファイルを圧縮するケースがほとんどだ。当然のことながら、それに伴い映像の品質は劣化することになるが、これまでその度合いを確認する作業は煩雑だった。それに対し、同機能を使用すると、「圧縮後の映像が元映像と並べられて同時にプレビューされるため、品質劣化度合いを容易に確認することができる」(マイクロソフト エバンジェリスト 大西彰氏)という。

    エンコード前後の映像を左右に並べて再生できる(A/B比較モード)

    そのほか、Webカメラ等で撮影した映像をライブでネットワーク上に流せる(ただし、圧縮処理等を施すため5秒程度の遅れが発生する)機能を備えるほか、Windows Live IDがあれば、変換後の映像をSilverlight Streamingサービスにアップロードしたり、同サービス上の映像をWebサイト上で再生するためのiframeタグを取得したりすることもできる。加えて、Expression Blend 2(後述)を使って作成したSiverlight再生用フレームを取り込むこともできるため、編集映像の内容だけでなく、(コントロール等を含む画面で)実際に再生される様子を確認することが可能だ。

    もちろん、マウス操作で字幕を入れられるなど、映像効果を施すための基本機能は一通り備わっている。ネットワークの種類に応じた圧縮テンプレート(高速ブロードバンドWebサーバ用、512k DSL ストリーミング用など)も用意されており、専門知識のない人でも扱える工夫がなされている。

    圧縮形式はテンプレートの中から選べる

    なお、Expression Encoder 2には、他のアプリケーションから呼び出すためのSDKも提供されている。したがって、CMS(Content Management System)サーバ等に組み込んで、撮影した動画ファイルをSilverlightアプリケーションに自動変換して公開するといった使い方もできる。

    Expression Media 2

    Expression Media 2は、映像ファイルや画像ファイル等のデジタル資産にタグなどのメタ情報を付けて管理することができるツールである。検索/分類を効率的に行えるほか、Silverlight製の画像/映像再生ギャラリーを作成する機能も用意されている。

    Silverlightギャラリーとして出力した例

    任意のキーワードでタグ付けできるのはもちろん、例えば、「日本」タグの小分類として「東京」タグを定義するといった具合に、タグに階層構造(親子関係)を持たせて管理することもできる。加えて、分類作業中の一時的な目印としてカラーラベルが導入されているほか、評価用の星印ラベルも提供されている。

    マイクロソフト Expressionマーケティンググループ シニアプロダクトマネージャ 竹内洋平氏

    Expression Media 2には、「GeoTagging」と呼ばれる地理情報(緯度/経度など)タグを付与する機能も搭載されている。Expression Media 2内でVirtual Earthを呼び出し、該当の場所を地図上に表示することも可能だ。

    マイクロソフト Expressionマーケティンググループ シニアプロダクトマネージャの竹内洋平氏は、"個人的に気に入っている特徴"として、「画像/動画をサムネイル化して持ち歩ける」点を挙げる。「Expression Media 2では、画像/動画を一覧形式のカタログとして取り込むことができる。カタログでは画像/動画がサムネイル表示されるのでデータを大幅に圧縮することが可能。私の家には、30Gという、ノートPCで持ち歩けないほどの画像データがあるが、Expression Media 2に取り込んだ結果、19Mにまで軽量化され、空き容量を気にする必要がなくなった」

    なお、マイクロソフトでは、Expression Media 2で作成されたカタログを閲覧するための専用ソフトウェア「Expression Media Reader」を無償で提供している。同ソフトウェアをインストールすれば、Expression Media 2のカタログを第3者がレビューすることもできる。

    また、Expression Media 2には、色補正やトリミングなど簡単な画像編集機能も備わっている。複数のファイル(最大6ファイル)を同一画面上で表示することもできるので、微妙に異なる編集を加えた画像を並べて吟味するといったことも可能だ。

    Expression Design 2

    マイクロソフト エバンジェリスト 高橋忍氏

    Expression Design 2は、Webサイトやアプリケーションで使用されるグラフィックパーツの作成を目的としたベクターグラフィックツールである。

    作成したグラフィクスを、WPF/SilverlightのUI記述言語である「XAML」に変換できる点が最大の特徴。作成したXAMLファイルは、Expression Blend 2(後述)に取り込み、RIAアプリケーションの装飾の一部として使うことができる。Expression Blend 2との連携は大幅に強化されており、Expression Design 2からExpression Blend 2へコピー&ペーストすることも可能だ。

    エクスポート形式としてXAMLを選択可能

    XAML対応もさることながら、同製品は「ドロー系アプリケーションの表現力を活かしつつ、ペイント系アプリケーションのようなエフェクトをかけることが可能」(マイクロソフト エバンジェリスト 高橋忍氏)と説明するほど、グラフィックツールとしての機能にも自信を持っている。例えば、描画のストローク(線)部品を新たに登録したり、プリミティブを細かく変更したり、スライサーで切り取った部分から不要なレイヤーを取り除いたりすることもできる。

    デフォルトで用意されているストロークも豊富

    また、Adobe Illustratorで作成したファイルを、レイヤーやオブジェクトの階層をそのままにインポートすることもできる。

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