世界のIT産業を牽引する台湾メーカー。COMPUTEXの会場にはさまざまな製品が展示されていたが、携帯電話を内蔵したユニークなデバイスをいくつか見かけたので紹介しよう。

ケータイ内蔵GPSレシーバー

海外ではハンディータイプのGPSレシーバーが多数販売されている。特に画面を持たずにBluetooth通信機能を内蔵し、スマートフォンとBluetooth接続して利用できるタイプのものは、サイズも小さく価格も安めなことから多数の製品が出ている。海外では携帯電話へのGPS搭載はまだあまり進んでおらず、スマートフォンの普及が高いことから「スマートフォン+Bluetooth内蔵GPSレシーバー」の組み合わせで、ナビゲーション用途として使う人も多い。

さてCOMPUTEX会場には、GPSレシーバーにGSM携帯電話を内蔵した製品がいくつか展示されていた。いずれも台湾メーカーの手によるものだ。これらは単体で携帯電話機能、すなわちデータの発信機能を備えているため、スマートフォンなどと連携しなくとも位置情報を外部に発信することができる。たとえば一番簡単な機能はSMS(ショートメッセージサービス)を利用した位置情報発信だ。テキストで現在地の緯度経度を送信するだけの単純な機能だが、自宅にいる家族に自分の位置情報を手軽に教えることなどができる。

最も多機能で携帯電話らしき形状をしていたのがGlobalSatの「TR-102」。本体右のボタンは下から3つが短縮ダイヤルで、登録先に電話できる(かかってきた電話は制限なくすべて受信できる)。左上のボタンはSOSボタンで、位置情報を指定先にSMSで送信できる

TR-102の背面。携帯電話内蔵ハンディーGPSレシーバーはみなSIMカードスロットを備えており、SIMカードを入れることで電話機能が利用できる。もちろんパケット通信を利用するにはパケット通信が可能なサービスに加入しておく必要がある

また製品によっては他の携帯電話からコマンドを送ることで、GPSの位置情報をSMSでPush配信できるものもあった。自宅にいる家族が外出中の子供のGPSレシーバーにSMSでコマンドを送ると、即座に位置情報がSMSで返信され子供の居場所がわかるというわけだ。SMSは低価格のモノクロ液晶携帯でも利用でき、連携する端末はスマートフォンや高機能携帯電話である必要も無いため、これまでGPSの利用をためらっていた一般ユーザーでも手軽に利用することが可能になる。

またパケット通信に対応し、リアルタイムで位置情報をノートPCなどに発信できる製品もある。これは、GPSレシーバーに付属する専用アプリケーションをあらかじめPCにインストールして利用する。GPS側で位置情報発信機能をONにすると、あとはPC側の地図アプリケーション上にリアルタイムで位置がプロットされるわけだ。

SUPAの「GT3000」(左)と「GT3200」(右)。クリップタイプでベルトなどに装着が可能。付属のアプリケーションをパソコンにインストールしておくと、パケット通信を利用してGPSの位置情報をリアルタイムに表示できる。なお音声通話は利用できない

HOLUX「GR-510」はアメリカで発売中の製品。前述の2製品と同類の機能を持つが、専用サーバーを利用した位置情報リクエストサービスに対応しており、ナビゲーションサービスプロバーダーなどが、サービスとGR-510をセットで販売しているとのこと

メールで写真を受信できるフォトフレーム

最近はデジカメで撮影した写真を表示できる、7~10インチ程度の液晶を利用したデジタルフォトフレーム(DPF)が増えている。メモリカードを直接装着して保存されている写真を表示できるものや、Bluetoothを利用して携帯電話で撮影した写真を直接転送できるものもある。会場にも多数のメーカーがさまざまなデザインや機能を備えたDPFを展示していた。

その中で台湾Magic Control Technologyが参考展示していたDPFはさらにユニークな機能を搭載している。「GSMフォトフレーム」の名前の通り、GSM携帯電話を内蔵したDPFなのだ。SIMカードを入れておけば、あとは携帯電話のカメラで撮影した写真をMMS (Multimedia Messaging Service)で送ってもらえば受信することができる。たとえば旅先で撮影した写真を即座に自宅に送る、家族の写真を携帯電話で撮影して田舎の両親に送る、といった使い方ができるわけだ。現在はまだ開発中のサンプル品のみの展示であったが、実際にその場で携帯電話から写真を送るデモも行っていた。発売は今年下半期の予定、価格などは未定とのこと。

GSMフォトフレームの概念。フォトフレームに携帯電話が内蔵されMMSで写真を受信できる。なおW-CDMA対応版も開発中とのこと

展示品は開発中のもので、大き目の液晶の中に製品版サイズとなる7インチの大きさで写真が表示されていた

あのEee PCにケータイ内蔵モデル

日本でも発売されその低価格が話題となっているASUS のノートPC「EeePC」。COMPUTEXでは新しいラインナップ「Eee PC 901」「Eee PC 1000」「Eee PC 1000H」が発表されたが、そのEeePC 901には「Built in 3.5G」、すなわちHSDPAの携帯電話モジュールを内蔵したモデルも展示されていた。展示品から実際にインターネットアクセスしてみると、さすが高速なHSDPA回線だけに快適なWebアクセスが可能であった。

Eee PC 901シリーズにはHSDPA内蔵タイプがラインナップされるのかと思いきや、説明員によるとこれはあくまでも参考出品とのこと。ただし各国の販売ディーラーなどから要望があれば搭載することも検討したいとのことである。日本ではまだEee PC 900/901は発売されていないが、発売されるのであればぜひともHSDPA対応版も投入してもらいたいものだ。

参考出品となるEee PC 901のHSDPA内蔵モデル。背面に出っ張りなどはなく、本体内にHSDPAモジュールを完全に内蔵している

HSDPAモジュールは世界中で実績の有るHuawei製のものが内蔵されている