【レポート】
BSDCan2008 リポートの締めくくりとして、期間中の発表の中からFreeBSD 8で実現されることになりそうな機能をまとめておく。FreeBSD 8の特徴は、端的に言うと、仮想化技術の進歩と組み込み対応の強化、16マルチコア/プロセッサにおけるスケーラビリティの実現ということになりそうだ。
FreeBSD 8またはFreeBSD 9では、FreeBSDを"組み込みプラットフォーム"と広く喧伝できるようになる可能性がある。特にFreeBSD/mipsの開発がそれを牽引する可能性が高い。FreeBSD/powerpc、FreeBSD/armと関連してビルドシステムの組み込み向け調整も進むことになりそうだ。
U-Boot活用機能がloader(8)にマージされるなど、FreeBSD独自の取り組みも注目に値する。今後対応するアーキテクチャ/ボードが増えることで、国内で販売されているアプライアンスにFreeBSDをインストールして使う機会も増えるだろう。今のところ国内で入手できる組み込みアプライアンスにFreeBSDをインストールするのはi386/amd64以外では一苦労だが、向こう数年で状況が変わるかもしれない。
またこちらは目処が立っていないが、フラッシュファイルシステムの開発が課題として上げられている。組み込みではフラッシュがストレージとして採用されている。PCでもノートPCを中心にハードディスクからSSDへ移行しつつある。フラッシュストレージを有効に活用できるフラッシュファイルシステムやストレージシステムの開発が必要というわけだ。
FreeBSD 8からVImageの機能がマージされていく見通しになりつつある。VImageがマージされれば、1つのFreeBSDで複数のネットワークルーティングを設定できるようになる。ホスティングサービスでの活用が期待できるほか、ルータOSとしての採用やネットワークプロトコルの研究開発にも利用できる。
こちらは実現されるかどうか定かではないが、リソース制御機能がマージされる可能性がある。そうなった場合、Jailで作成したFreeBSDインスタンスに対して現在よりも適切なリソース制御を実現できるようになる。Hypervisorを使ってOSごと仮想化する現在の主流のアプローチとは違うが、Jailと組み合わせることで同リソース制御機能はFreeBSDの大きな特徴になるだろう。あまり話題には上がっていないがXenの対応開発も進んでいる。XenのホストOSとしてFreeBSDを動作させるかどうかは定かではないが、少なくともゲストOSとしては活用できるようになりそうだ。
マルチコア/プロセッサにおけるスケーラビリティの向上は、プロセッサのマルチコア化が進む限り永遠に取り組まれる課題となるだろう。スケジューラはもとより、各種サブシステムを含めてすべて改善を続ける必要がある。コアの数やコア配置の変更などに応じて戦略や戦術を変更する必要があり、その時の状況に最適な改善とチューニングが継続されることになるだろう。
FreeBSDがこれまで実現を目指してきた目標はパフォーマンスと安定性だ。安定した動作を実現しつつ高いパフォーマンスを発揮する、これがFreeBSDの目指してきた設計と実装である。FreeBSD 7で取り組まれた内容もこうした目的に沿ったものとなっている。
逆に、これまでFreeBSDが弱かったところはどこかというと、それは電源になる。当然APCIへの対応やcpufreq(4)+powerd(8)によるプロセッサの周波数制御、デバイスドライバやスケジューラレベルで省電力への取り組みは行われているが、OSレベルで一貫した電源フレームワークは導入されていない。
経済活動は温室効果ガスの排出削減へと向かっている。省電力化は、向こう数十年に渡って注力され続けるとみられる。データセンターでFreeBSDを採用する場合、OSレベルで電源フレームワークを導入し、効果的に電力を使えるかどうかが大きな採用指標になる。FreeBSDにはそのための大枠がないため、FreeBSD 8や9、さらにその先でグリーン対応をどうやって行っていくか議論し、実現していくことになりそうというわけだ。
ちなみに細かい実装に言及すると、性能を劣化させることなくプロセッサ周波数の低減、電圧の低下、電源オフ、バスレベルでの電源オフ、ハードディスクの電源オフなどをひたすらこまかく実行するということになる。性能を劣化させることなく消費電力を最小にすることが目標だ。こうした取り組みは組み込みやモバイル機器でのFreeBSD採用にも有効に働く。どういった大枠や目標を設けてフレームワークを策定するかは、今後の取り組み次第となるわけだが、大いに注目しておきたいポイントだ。
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