日本IBMは、都内のホテルで「IT全体最適化による経営への貢献」と題して、CIOおよびITマネージャ向けフォーラム「IBM IT VISION2」を開催した。

日本IBM システム製品事業 エンタープライズ・システムズ担当 理事 井上 日登志氏

そしてプログラムの最初に、日本IBM システム製品事業 エンタープライズ・システムズ担当 理事 井上 日登志氏が『経営と一体化したITのビジョン「次世代エンター・プライズ・データセンター」』と題して基調講演を行った。「次世代エンター・プライズ・データセンター」は、2月26日に開催された「IBM IT VISION」で発表されたが、今回はこのビジョンについて、より具体的に説明が行われた。

井上氏は冒頭、「新しいビジネスモデルを生み出し、いかにそれに早く対応していくかということがITにおいては重要だ」と語った。そして、経営と一体化したIT基盤に求められる要件としては、多種多様なデイバスからのアクセス、大量のデータ処理を行うための柔軟なIT資源の提供、どこからでもアクセス可能なネットワーク環境、サービスの迅速な提供の4つを挙げた。

一方企業は、運用コストの増大、データや情報の増加、新しいアプリやサービス展開の難しさ、セキュリティや可用性の確保、グリーンITへの対応などの課題を抱えており、これらに対応するため、IBMでは次世代エンタープライズ・データセンターを提唱している。

企業が抱える課題

企業が求める次世代IT基盤

次世代エンタープライズ・データセンターとは、アプリケーションだけでなく、ハードウェアやネットワーク等のすべてのIT資源をITサービスとしてビジネスに合わせて活用しようというもの。つまり、データセンターは一般的な意味のデータセンターではなく、IT基盤という意味だ。

従来は、アプリーションとサーバは1対1の関係であったが、業務によってピーク時間は異なっており、その時点で余っているIT資産を必要なシステムに割り当てることによって、IT資産の利用率を約3倍に向上させ、熱を60%、フロアスペースを80%それぞれ削減。そして、IT資産の割り当ては、システムを再起動することなく、コマンド1つで数分以内に実現する。これがIBMが実現しようとしている次世代エンタープライズ・データセンターの期待される効果だ。

井上氏は、この次世代エンタープライズ・データセンターの実現には3つのステップがあると述べた。「簡素化」「共有化」「ダイナミック」の3つだ。

簡素化とは、仮想化を利用してサーバを統合していくこと。その次の共有化とは、余っているIT資源(リソース)を必要なシステムに動的に割り当てていくこと。そして、ダイナミックとは、自社のシステムだけでなく、クラウドと呼ばれるWeb上で提供されているサービス等との融合や、動的なIT資源の割り当ての自動化などを指すという。

次世代エンタープライズ・データセンターへの3つのステップ

共有化のプロセス

またIBMの強みとして、幅広い製品群を持っており、メインフレーム、PowerSystems、x86サーバ間で技術を提供し合うことが可能な点を挙げた。

IBMの強み