【レポート】
既報のとおり、米Microsoftは5月18日夜(現地時間)、米Yahoo!に対して完全買収以外の選択肢も含む新たな交渉を開始したと発表した。同社はYahoo!への買収提案を撤回して以降、オンラインサービスや広告ビジネスにおける(Yahoo!買収以外の)他の選択肢を模索していくとコメントしていた。今回の発表では、MicrosoftやYahoo!だけでなく、両社の株主や第三者を巻き込んだ話し合いの場を持っていく意向だとしている。今後の展開についてMicrosoftでは明言していないものの、事実上のYahoo!買収再参戦と言っていいだろう。本稿ではこの背景について、もう少し詳しくみていこう。
今回のMicrosoftの発表は、投資家Carl Icahn氏のYahoo!株式取得と委任状争奪戦を受けてのものだ。Icahn氏は委任状争奪戦でYahoo!の全役員10人を置き換えることを目標にしており、その最終目的はMicrosoftへのYahoo!売却だと考えられる。この実現のためにはMicrosoftがYahoo!買収へと再度傾くことが必要で、今回のMicrosoftから発表された声明は同氏の一連の行動に裏付けを与えるものとなる。Icahn氏はこれまでも同様の手法で多数の企業の乗っ取りや他社への売却を成功させており、Yahoo!のケースでも例外ではないだろう。それはMicrosoftの買収提案撤回以降もYahoo!株価が大きく崩れずに高値圏を維持していることからもわかる。
一方で、Yahoo!が最も避けたいと思っていることが、Microsoftに同社が買収されることだと考えられる。Microsoftの買収提案撤回直後、Yahoo! CEOのJerry Yang氏は「Microsoftによる望まれない買収提案で邪魔されることもなくなり、我々はすべてのエネルギーを自身の事業へと振り向けることができる」とMicrosoftへの嫌悪感と喜びともいえるコメントを同時に発しており、こうした経営陣の抵抗がMicrosoftにとって最大の障害となっている。Yang氏はMicrosoftの提示する買収価格がYahoo!本来の価値を損なうものだとしているが、実際は価格の問題ではなく、Yahoo!自身のMicrosoftへの嫌悪感からくるものだろう。Icahn氏が委任状争奪戦でYahoo!の全役員排除を狙っているのも、Microsoftによる買収実現にはまずYahoo!側の抵抗勢力排除が必要だと判断したとみられる。
Yahoo!自身もMicrosoftの18日の声明を受けてすぐに「MicrosoftがYahoo!の完全買収に興味を持っていないことを確認した」とのコメントを発しており、買収以外の手段であれば引き続き交渉に応じていく構えであることを示している。だがYahoo!株主にとって最も重要なのは同社の株価の行方であり、こうした取引がそのままYahoo!株価上昇に結びつくかは疑問符が残る。やはり最終的には、他の株主もIcahn氏の提案に乗ってMicrosoftへの売却打診へと向かうと考えるのが自然だろう。
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