【レポート】
磯崎新(いそざき あらた)氏と言えば、日本を代表する建築家のひとりであり、世界の建築の現状を見据え、これを批評する活動において、いわゆる建築におけるポストモダンを牽引した人物だ。日本建築学会賞をはじめ、王立英国建築家協会(RIBA) ゴールドメダルやヴェネツィア・ビエンナーレ建築展金獅子賞など、国内外で数々の賞を受賞しており、多くの公共建築の設計を受注している。中でも優れた美術館建築を手がけ、ロス アンジェルス現代美術館やブルックリン美術館など、世界中にその作品を見る事ができる。中でも1967年の大分県立大分図書館(現アートプラザ)や1974年の作品である群馬県立近代美術館は、磯崎氏の代表作といえるものだ。
群馬県立近代美術館は、2005年に一旦閉館し、耐震補強や設備改修などが施され、4月26日にリニューアル・オープンした。このリニューアルを記念して、6月22日まで、『磯崎新 七つの美術空間(SEVEN ART GALLERIES)』が開催されている。磯崎氏が手がけてきた数多くの美術館の中から七つのプロジェクトを取り上げ、スケッチ、図面、模型、写真などにより、各施設ごとにその構想から建築の全貌が把握できる展示内容としている。
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リニューアルオープンに際し、磯崎氏(右から二人目)をはじめ群馬県知事らセレブリティによるテープカットが行なわれた |
リニューアルを記念して開催されている『磯崎新 七つの美術空間(SEVEN ART GALLERIES)』 |
本展では、7つの美術空間として、アートプラザ(旧大分県立大分図書館)、群馬県立近代美術館、ロス アンジェルス現代美術館、ハラ・ミュージアム・アーク、奈義町現代美術館、中央美術学院美術館、上海証大ヒマラヤ芸術センターのスケッチや設計図などのドローイング、写真、さらに建築模型といったさまざまな資料を展示し、それぞれのプロジェクトを紹介している。磯崎氏は建築模型を数多く制作している建築家としても知られており、今回の展示の要とも言える。その多くは磯崎氏の生地である大分のアートプラザに収蔵され、順次公開されているが、今回、美術館という括りで一挙に展示され、展観できるのは意義深い事と言えるだろう。
初期の代表作と言えるアートプラザに始まり、本展の主役たる現代の美術空間を創出した群馬県立近代美術館、そして、2009年に竣工を予定している、発展目覚ましい中国・上海にお目見えする複合施設である上海証大ヒマラヤ芸術センターまで、磯崎氏の美術館建築における軌跡とその未来を目の当たりにする事ができるまたとない機会と言えるだろう。次のページより7つのプロジェクトの概要について解説する。
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