ニュージーランド政府観光局はこのほど、女優の前田美波里氏を「ニュージーランドオピニオンリーダー」に任命した。前田氏は今後、5月中旬に現地に赴いて自然に触れるツアーなどに参加し、自身の体験を通してニュージーランドの魅力を発信していく。

ニュージーランド政府観光局局長ジェイソン・ヒル氏(左)と、初代ニュージーランドオピニオンリーダーの前田美波里氏(右)

24日に行われた任命式では、ニュージーランド政府観光局局長ジェイソン・ヒル氏が「ニュージーランドは人類が足を踏み入れた最後の大陸。国土の3分の1を占める国立公園を中心に残っている手つかずの自然を、見るだけでなくアウトドアアクティビティを通して触れてほしい」とアピール。これに対して前田さんも「バンジ-ジャンプ以外は全部やってみたい(笑)。シーカヤックでオットセイに出逢えることもあると聞き、腕の筋肉をつけようと水泳のトレーニングを始めました」とオピニオンリーダーとしての意気込みを見せた。

同観光局では「100% PURE NEWZEALAND」をキャッチフレーズに、自然の中で遊び心にあふれたアクティブな旅のかたちを提案し、渡航者数を増やしたい考えだとしている。ターゲットを55歳以上のアクティブシニア層とし、ヘリコプターで上空から氷河に到着して体験するトレッキングや、ウォーキング、つり、カヤックなどのネイチャーアクティビティを推奨するという。そのほか、温泉やワイナリー訪問などもPRし、あくまで自然派志向の企画を予定している。

1948年生まれで今年還暦を迎える前田氏は、同年代の旅行者に向け「環境問題がこれだけ叫ばれている今、まず一番に、自然と調和して生きるニュージーランドの暮らしや生き方を学んで伝えたい。そして、旅のかたちも自然を壊さず、エコを意識したものへと変えていきたい」と自身の考えを語った。さらに5月中旬に開催される現地訪問ツアーに関しては、「『バスで観光スポットを巡り、写真を撮って日本で友達に見せる』というのではなく、『自分の足で自然の中を歩き、自然を壊さない。おいしい空気が一番の贅沢』という旅を体験してきます」と宣言し、任命式を締めくくった。

なお、同観光局は、観光業も含めて同国で「脱炭素国」を目指していることもPRしている。同観光局広報部長の中山由美子氏によれば、成長の過程でCO2を吸収する植物を原料にしたバイオ燃料を使用し、カーボンニュートラル(炭素の排出分を吸収分で穴埋めすることで可能になる±ゼロの状態)を実現するツアー会社や、ろ過した雨水を太陽熱であたためて風呂や台所で使い、無農薬食材を敷地内で調達するロッジなど、民間企業の取り組みが盛んであるとのこと。そのほか、移動で排出した分のCO2をお金で相殺できるシステムなど、旅行者自身が参加できる温暖化対策も充実している。自然の美しさを売りにするだけでなく、その自然を保護する実践的な取り組みがされている点も同国の魅力のひとつと言えそうだ。