4月26、27日の二日間、東京・初台のアップルジャパンのセミナールームにおいて、最新ミュージック・ツールの展示会イベント、「IMSTA FESTA」が開催された。IMSTA(International Music Software Trade Association)は音楽ソフトウェアやサウンドウェアメーカーが著作権保護のための活動を行っている団体。このイベントでは、本来の活動とは別に、海外の最新情報などを紹介している。

このIMSTA FESTAに出展したのはアップルジャパン インターネット、エムアイセブンジャパン、エレクトリ、オービット ミューズテクス事業部、コルグ、AQインタラクティブ、ティアック、ディリゲント、ハイ・リゾリューション、フックアップ、宮地商会M.I.D、メディア・インテグレーションの各社。各社とも1月に米国アナハイムで行われたThe NAMM Show、3月にドイツ・フランクフルトで行われたMusikmesseで発表された新製品などを展示した。

中でも多くの来場者の注目を集めたのがAQインタラクティブから7月に発売が予定されているニンテンドーDS用のソフトウェアシンセサイザー、「DS-10」だ。これはコルグが1978年に発売したアナログシンセサイザー、「MS-10」を再現したもので、音源部の開発はコルグ自らが行ったというものだ。ニンテンドーDSの2つの液晶画面を用いて音色作りをしたり、シーケンスパターンを組むなどしてシンセサイザーを鳴らすことができる。MS-10と同様、コードを使ったパッチングをエミュレーションしたり、小さな鍵盤でリアルタイムに演奏することも可能。さらに複数台のDS-10を組み合わせてネットワークを構築した上での同期演奏も可能という。

ニンテンドーDS上でコルグのレトロシンセ、MS-10を再現させるDS-10。AQインタラクティブが7月24日に発売する

メディア・インテグレーションが参考出品として出したのが、伊IK Multimediaのギターアンプシミュレーターとして人気の高い「AmpliTube」の最上位モデル、「AmpliTube StompIO」。これは堅牢なボディーのオーディオインタフェース兼フットコントローラ、それにフットペダルとAmpliTubeソフトウェア群をセットにしたもので、ライブステージなどでの利用を想定した製品だ。PCとの接続はUSBで行い、ハードウェアのエフェクタを扱っている感覚で操作できる。国内での正式発表は5月になる見込みで、実売価格は10万円台半ばになりそうとのことだ。

オーディオインタフェース兼フットコントローラのStompIO。ギター用の入力のほか、バランス出力、アンバランス出力、MIDI端子、外部ペダル入力6系統などが用意されている

AmpliTube StompIOにはAmpliTube2.AmpliTube METALなどさまざまなソフトがバンドルされている

またプロ用のプラグインソフトとして著名なイスラエルのWavesが開発した「iGTR」というiPod程度の大きさの小型のギター用エフェクターも注目を集めた。これはディレイ、コーラス、リバーブの空間系、ワウ、トレモロ、フェイザーのモジュレーション系、それにアンプモデリグを組み合わせたもの。ギター入力のほかにiPodなどと接続するAUXも装備し、ヘッドホンで聴くことができる。これも正式発表は5月で、価格的には1~2万円になる見込みだ。

Wavesのコンパクト・ギター用エフェクター、iGTR

エムアイセブンジャパンも国内未発表製品を参考出品している。ひとつは米Novationの小型フィジカルコントローラ、「NOCTURN」だ。9つのノブはタッチセンスとなっており、Automap Universalというオートマッピング機能により、特別な操作をしなくてもほとんどのプラグインですぐに使えたり、Learn機能により簡単に機能を割り当てることが可能になっている。このNOCTURN、5月後半に正式リリースする予定で価格は15,000円前後となりそうだ。

NovationのUSB接続小型フィジカルコントローラ、NOCTURN

Automation Universalというソフトにより、各ノブやボタンの割り当てが簡単に行える

もう一つが英Solid State LogicのDSPユニット、「DUENDE」のPCIe版となる「DUENDE PCIe」。1UラックマウントのDUENDEはWindows、MacのVSTプラグインやAUプラグインをハードウェアで駆動するということで、多くのユーザーから支持されている製品。それとまったく同じ性能を持つPCIe版がDUENDE PCIeなのだ。コンパクトになるとともに価格は158,000円程度とDUENDEの198,000円より割安。また2枚の同時使用が可能で、最大64チャンネル(モノラル)のプラグインを利用することが可能になる。

SSLのDUENDEをそのまままるごとPCIeのボードに納めたDUENDE PCIe

ディリゲントが参考出品したのはまもなくパブリックβが公開されるDJソフト、「Traktor DJ Studio 3.0」の日本語対応版だ。TraktorはPC上のDJソフトとして幅広く使われている著名ソフトだが、これまで最大のネックとされていたのは、日本語の曲名表示ができず、最悪システムダウンをするという部分だった。そうした問題を解消したモデルが、今回の製品。実際の発売はもう少し先になりそうだが、会場においてはまったく問題なく動作していた。

まだパブリックβという段階だが、日本語に対応したTraktor DJ Studio 3.0もお目見え

またセミナールームでデモビデオが公開されたのが独Celemonyの次期「Melodyne」に搭載される新技術「Direct Note Access」だ。これはポリフォニックのオーディオ素材をモノフォニックに分解した上で、それぞれの演奏情報を解析するというものだ。残念ながらブースでのデモ披露はされなかったが、この秋の発売に向けて着実に開発は進んでいる模様だ。

和音を自動的に解析して譜面化するための技術、Direct Note Access

さらにフックアップによると5月中旬をメドに「FL STDIO Ver8」のリリースを予定しているとともに、ベルギーのMu Technologiesの次世代ボコーダー&ボイスプロセッサーともいうべき「Mu Voice」が5月末にリリースされる見通しだという。さらに、「ACID Pro」も年内には新バージョンがリリースされるということだった。

このように小規模ながら海外の最新情報を展示するIMSTA FESTA、IMSTA JAPANの事務局によると、今後もこの時期の恒例イベントとして開催していく予定とのことだった。