米カリフォルニア州サンフランシスコ市で現地時間の4月22日からWeb 2.0 Expoが開催されている。23日の午後にO'Reilly MediaのCEOであるTim O'Reilly氏が基調講演セッションのオープニングに登場。Web 2.0というキャッチフレーズで語られるネット上の動きが今、流行から真に社会や世界を変える存在に変わる時期を迎えていると主張した。

Tim O'Reilly氏が基調講演セッションのオープニングに登場

O'Reilly氏がWeb 2.0を語る際、必ず"集合知"をキーワードにする。ところが流行語化したWeb 2.0は、確たる意味づけが伴わないまま使われているのが現状だ。同氏は最初に、「米国のWeb 2.0投資は2007年から88%増加し13億4,000万ドルに - 飽和の懸念も」と題された記事を紹介した。そこには投資企業がWeb 2.0企業を分類する目安として「ユーザー生成型コンテンツ、ネットワーキング、コラボレーションなどを促す動的なインタフェースからビジネスモデルを作り出す企業」と書かれている。

米国の景気低迷と共にWeb 2.0限界説も

例えばポッドキャスト、タギング、ブログ、ソーシャルネットワーキング、マッシュアップ、Wikiなどのアプリケーションや、AJAX、RSS、SPA、CSS、XHTML、RIAなどの技術を活用している企業だという。一般的なWeb 2.0の受け止め方もコレに近いと思うが、O'Reilly氏に言わせれば、これらは現在のWeb 2.0の要素ではあってもWeb 2.0の本質ではない。米国の景気低迷に伴い、このようなアプリケーションや技術を採用している企業が下火になると共に、Web 2.0の限界もささやかれ始めている。だが、そもそもWeb 2.0というのは、ネットバブルがはじけた後に、ネットの可能性を再認識してもらうために同氏が取り上げた言葉である。むしろ今こそ、Web 2.0の本質を見極め、活用する時期だというのが同氏の意見だ。

O'Reilly氏はWeb 2.0の本質を伝えるために、「プラットフォームとしてのインターネット」「集合知の活用」「"Intel Inside"のようなデータ」「1台のデバイスにしばられないソフトウエア」「サービスとしてのソフトウエア(SaaS)」などのトレンドを挙げた。"Intel Inside"のような、というのは、データが見えないところにある主役という意だ。

その上で今後のWebの成長を支える3つのエリアとして「エンタープライズ」「クラウド」「モバイル」の3つを取り上げた。