首都高グループは25日、リニューアル工事が終了し26日にオープンする代々木パーキングエリアを報道公開した。同PAは約1年間の工事期間を経て、駐車台数を約2倍の41台とし許容量を増加。明治神宮の豊かな森を一望できる飲食フロアが新設されたほか、首都高初の試みも随所に見られる"小柄で多彩なPA"として生まれ変わった。

首都高速4号新宿線上り線の進入口からの眺め。コンパクトにまとめられた近代的な建造物が目新しい。近隣住居施設との調和する上で2階建ては建設計画当初から決まっていた。進入・退出の道路は拡幅・延長などが施されず舗装が変更されているのみだ

代々木パーキングエリアは、首都高速4号新宿線上り・渋谷区代々木1丁目付近に設けられ、中央道方面からのドライバーが首都高を利用し都心を目指すさい、永福PAの次のパーキングエリアとなる。今回のリニューアルでは、施設を旧平屋建てから2階建てとし、環境配慮型の「エコPA」を目指し、ハイブリッド発電設備や、遮熱舗装、低放射複層ガラスなどを新たに採用した。本線道路を挟んで隣接する明治神宮の森に調和した空間をつくることを目標とした。飲食サービスにおいても、特別栽培農産物に適合した野菜類を使用したメニューを提供する。

2階のフリーエリアからは緑豊かな明治神宮の森と本線を行き交うクルマたちを眺めることができる。左方が三宅坂・都心環状線方面。右方が新宿・中央道方面。2つのレストランのメニューもこの眺望を楽しみながら味わえる

ドライバーにとって気になるのが、まずトイレだ。代々木PAのトイレは、男女ともホテルのそれを連想させるほどの白を基調とした清潔感のある空間となっていて、女性側が本線(南)側で、洗面所エリアの窓からは明治神宮の緑が見渡せる。男性側は住居側。この配置の理由は「防犯上と女性に優しいつくりを目指した結果。女性ユーザーに安心して利用してもらいたいという願いもある」(首都高速道路)という。

クルマを止め2階へ上がると「レストランよよぎの森」と「ドトールコーヒー」が出迎える。安全・健康・エコをキーワードとし今までにない首都高PAの新しい雰囲気を創り出している

飲食サービスも、今までの首都高にはないものがお目見えした。ひとつは、FCチェーン「ドトールコーヒー」の導入だ。ドトールの首都高出店は初となる。そしてもうひとつは、首都高速道路サービスが展開するレストラン「よよぎの森」だ。食の安全を配慮し、減農薬・減化学肥料の国産野菜を使用した洋食メニューが並ぶ。ハンバーグやオムライス、サラダなど、メニューはまさしく女性に喜ばれるラインアップだ。これまでの経緯を首都高速道路サービスは、「今までのPAというと、ラーメンに定食というイメージが強かった。そこから脱却し、"森の空間"を創出することを目標とした」と語った。2店とも営業時間は7~21時。全席が禁煙となる。

女性側(左)の洗面所エリアは本線が眺められる南向き。男性側(右)は住宅地側となる。このような男女の配置は「防犯上」と「女性に優しい」配慮だという

同社広報によると、旧平屋時代の代々木PAの来客数は平日が2100人、土休日が2300人。駐車場の許容台数が倍増したことで、首都高グループは、「来客数の目標は前の2倍をいきたい」と意気込むが、ドライバーの評価はいかに。新たな女性ドライバーの取り込みを狙う首都高の試みは功を奏すか。日ごろ、PAは「進入・合流が難しい」というユーザーの声をよく耳にするが、今回の代々木PAリニューアルのさいも「進入路・合流路の改良はない」(同社)という。リニューアル総工費は約6億円。代々木にできた"新たな森"がいよいよ開く。

天井は吹き抜けとなり日差しを取り入れることで室内を明るくしている

コーヒーを味わいながら渋滞検索やマップ表示ができるデスクトップ型のモニターも装備

1階入口に掲出されているフロアガイド

介助ベッドや和洋式トイレの存在など、高齢者や子どもにもわかりやすくアイコンで表示される