【レポート】

Linuxカーネル開発の舞台裏

2 今後ますます企業の協力は必要になる

    海上忍  [2008/04/08]

    前述の調査により、いまやLinuxカーネルのうち70%は企業における正規の仕事としてコーディングされたもの、と文書では結論づけている。文書では触れられていないが、ここ3年で支援企業数の伸び率が開発者のそれを上回ったことからすると、フルタイムではないにせよ業務としてカーネル開発に従事する技術者の比率は、次第に高まっていると推測される。

    開発者の増加は、Linuxカーネルの機能強化と安定性向上に大きく貢献したが、一方ではソースコード分量の増大という事態も招いている。バージョン2.6.11のとき650万行程度だったものが、約3年後のバージョン2.6.24のときには900万行目前という状態。Linuxが現在の開発ペースを維持しようとすると、おそらくこの傾向に変化はなく、今後ますます企業の協力が必要になると考えることが妥当だ。

    とはいえ、支援企業のない個人の比率は約25%と依然高く、多くの作業が少数の技術者によってなされていること -- 文書では上位10人の開発者が修正箇所総数のうち約15%を、上位30人が約30%を占めていることにも触れられている -- からすると、まだまだ"属人ベース"で開発が進められていることも確か。文書に掲載された資料「カーネル開発に貢献した人々(表3) 」では、Linus Torvalds氏やAlan Cox氏、Andrew Morton氏などという知られた名前を目にすることもできる。旧来のスタイルを残しつつ、企業に属す技術者の力を借り開発の精度と速度を上げていることが、現在におけるLinuxカーネルの開発風景なのだろう。

    Linuxカーネルの1時間あたりにおける修正数の推移 (「カーネル開発の歴史」より)

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