【レポート】

東山魁夷作品が和菓子になると…? - 「和菓子で織り成す東山魁夷の世界」展

    野田英夫  [2008/04/08]

    東京国立近代美術館で開催中の「生誕100年 東山魁夷展」を記念して、東京駅八重洲中央口正面にある京都館で和菓子展「和菓子で織り成す東山魁夷の世界」が開催されている。京都で和菓子職人として活躍する濱田一信氏が、東山魁夷作品に着想を得て創作した和菓子を展示したもの。東山芸術確立の第一歩となった代表作「道」や、月夜に咲き誇る桜が印象的な「花明り」など、四季の彩りを鮮やかに表現した作品10点の創作和菓子が展示されている。

    会場は10:30から19:30までオープンで、入場は無料

    東山魁夷作品と和菓子が並んで展示されている

    <濱田一信氏略歴>
    1978年、京都生まれ。 京都高等工芸学校にて芸術・デザインを学ぶ。 菓子職人として修行の傍ら、京都菓子専門校で菓子全般を習得。 現在、和菓子教室も展開するなど、和菓子職人として活躍中。

    濱田一信氏は、創作和菓子のほか和菓子教室なども開いている

    自らも絵を描いていた濱田氏はかねてから魅せられていた東山魁夷を、いつか和菓子で表現してみたいと考えていたという。そしてついに昨秋、2カ月がかりで東山作品に着想を得た生菓子15点、干菓子2点を創作し、京都で初の個展を開いた。今回は、東山魁夷の作品の中でもとくに四季の彩りを鮮やかに表現した作品10点を選び、展覧会を構成した。

    食品である和菓子の色彩は、食べたくなることが基本だ。東山作品特有の色づかいのイメージを壊さずに、どう和菓子として表現するかに苦労したと、濱田氏は語る。中でも難しかったというのが、「残照」。東山芸術の方向性を決定づけたといわれる名作だが、色彩が微妙に変化する様子と、ダイナミックな奥行きをどう出すか、何十と試作を繰り返しやっと出来あがったという。

    最近はヘルシーなスイーツとして若い女性にも人気の和菓子だが、味だけでなく鑑賞用として高い芸術性が求められる。東山芸術の繊細な美を見事に再現した濱田氏の和菓子は、絵画ファンも必見だ。「生誕100年 東山魁夷展」と合わせて、こちらの和菓子展も楽しんではいかがだろう。ただ、ひとつだけ残念なことがある。鑑賞していると、おいしそうでつい食べたくなるのだが、今回は食べることはできない。ぜひ次回は、目でも口でも楽しめる展覧会を期待したい。

    和菓子紹介

    「道」 1950年 東京国立近代美術館

    単純化した形態と簡潔明瞭な構図、淡い色彩を再現

    「花明り」 1968 個人蔵

    表面に、清浄な月光と馥郁とした桜の花が描かれている

    「冬華」 1964年 東京国立近代美術館

    霧氷をまとって雪原に立つ樹を描いた「冬華」。太陽は銀箔で現した

    「残照」 1947年 東京国立近代美術館

    色彩の変化と奥行きをどう再現するか、もっとも苦労したという「残照」

    「照紅葉」 1968年 個人蔵

    「照紅葉」では、京都栂尾の紅葉を練り物で見事に描いた

    「青響」の木々が積み重なったリズミカルな反復を練り物で表現

    筍が顔を出した初夏の竹林を描いた「夏に入る」は蒸し物で表現

    京都・嵯峨野の月下の竹薮を描いた「月篁」

    天龍寺の池を描いた「池澄む」、水の色の微妙な変化も見事に表現されている

    京都郊外の春の風景を描いた「春静」がテーマ

    皿も東山魁夷の世界を表現する大切な要素

    展覧会名 和菓子で織り成す東山魁夷の世界
    会期 2008年4月5日(日)~4月13日(日)
    会場 京都館(JR東京駅八重洲中央口徒歩1分)
    開館時間 10:30~19:30
    入場料 無料

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