マイクロソフトは、Windows Server 2008とWindows Vista SP1の組み合わせで実現する企業ユーザー向け製品価値についての記者説明会を開催。ネットワークパフォーマンスの検証においては従来比で約6倍ものファイル転送高速化を実現するなど、その実力をアピールした。

Windows本部 部長の中川 哲氏

記者発表会の冒頭でWindows本部 部長の中川 哲氏は、「Windows Server 2008が発表されるタイミングで、Windows Vistaとともに企業での導入展開が劇的に進むと考えています」と語った。この理由として、高速かつ安定性のあるWindows Vista SP1の性能、Windows Server 2008はWindows Vista SP1と同じコードをベースに作られているため既に高いクオリティを持つ、今回説明するWindows Server 2008とWindows Vista SP1を組み合わせた企業メリット、という3点を挙げた。

ファイル転送で約6倍の高速化を実現

Windowsサーバー製品部 マネージャの藤本 浩司氏

続いて、Windowsサーバー製品部 マネージャの藤本 浩司氏による具体的な機能解説が行われた。

藤本氏は、現在のIT環境を取り巻く主な課題としては、サーバの統合における生産性の低下、社内ネットワークの脆弱性、アプリケーション管理の煩雑さなどを挙げ、Windows Server 2008とWindows Vista SP1を組み合わせることで、これらの課題を解決し、効率的なビジネス環境が整うと述べた。さらに同氏は「今回はWindows Vistaとのコラボレーションのため、ユーザーフレンドリーな言葉で表現すると"速い""安心""手間いらず"の3点が大きな特徴だ」と語った。

まず"速い"は、ネットワークパフォーマンスの向上だ。Windows Vista SP1は従来製品(RTM)と比べてパフォーマンスが改善されており、特にファイルコピーのスピードでは大きな差が出ている。具体的には、多ファイルのローカルコピーで約10%、USBからのコピーで約20%、ネットワークコピーでは約70%もの高速化が可能。これは、一度に複数のコマンドが実行できるSMB2.0および、TCP/IPの自動チューニング機能により実現したものだ。

ファイルコピーのスピードが大幅に向上したWindows Vista SP1。Vista RTMと比較して、ネットワークコピーでは約70%高速化したという

一度に複数のコマンドが実行できるSMB2.0と、TCP/IPの自動チューニング機能でネットワークパフォーマンスを向上

今回解説と同時に、ネットワークパフォーマンス向上を裏付ける検証結果も発表された。この検証は、10MBのファイル10個をサーバからクライアントへ転送し、転送終了までの時間をパフォーマンスモニターで計測するというもので、Windows Server 2008とWindows Vista SP1、Windows Server 2003とWindows XPの2環境で比較。条件はブランチオフィス間のWANを経由した転送を想定し、回線遅延20msをネットワークアプライアンスでエミュレート、ネットワーク帯域は100Mbpsで統一されている

結果としては、Windows Server 2008とWindows Vista SP1の組み合わせで約14秒、Windows Server 2003とWindows XPでは約84秒と、約6倍ものファイル転送高速化を実現できたことになる。

Windows Server 2003+Windows XP(左上)と、Windows Server 2008+Vista(右下)のファイルコピー比較。Windows Server 2008+Vistaのほうはほとんど終わっているが、Windows Server 2003+Windows XPのほうは残り2分と表示されている。

Windows Server 2008+Vistaは、Windows Server 2003+Windows XPに比べ、約6倍ものファイル転送高速化を実現したという

また、I/Oのバッファリングサイズが従来の128KBから1MBへと拡張されているほか、ファイルサーバのデータをクライアント側でキャッシュすることで、ネットワークが不安定な状態に陥っても業務を継続できる仕様となっている。