【レポート】

使いやすさ抜群! FreeBSDベースのデスクトップOS PC-BSD - AsiaBSDCon 2008

    後藤大地  [2008/04/04]

    FreeBSDをベースとして開発されたデスクトップシステムとしてもっとも有力なディストリビューションのひとつがPC-BSDだ。PC-BSDはFreeBSDから派生したわけではなく、FreeBSDとKDEをベースとしてデスクトップユーザ向けにカスタマイズされたディストリビューションだ。最大の特徴は簡単にインストールできるGUIインストーラと、導入やアップデートが簡単にできるPBIにある。最新版は3月12日に公開されたPC-BSD 1.5。

    iXsystems CEOのMatt Olander氏

    実質的にPC-BSDの開発をしているのはKris Moore氏。PC-BSDの開発を支援しているのがiXsystemsだ。AsiaBSDCon2008ではiXsystemsのCEOであるMatt Olander氏が来日し発表を担当した。同氏はデーモンの耳アイテムをデベロッパに配って、自分もそれをかぶりつつ陽気に発表をおこなった。

    同氏は実際にPC-BSD 1.5をインストールしたり、PBIを使ってアプリケーションのインストールや削除を実演してみせた。Mac OS XのParallels Desktopを使っていたが、動作がサクサクと軽快だったのが印象的だ。Wi-Fiツールも統合されているためノートPCでも簡単にワイヤレス機能が使える点も興味深い。最初から多言語対応しているため、日本のユーザも導入しやすいところもポイントだ。フォントも改善されている。マルチ言語プラットフォームとしてもチューニングされているため、中国語や韓国語など日本語以外のベースプラットフォームとして使いたい場合にも便利だ。

    Ports Collectionからアプリケーションのバイナリパッケージが作られるように、PBI (Push Button Installer)もPorts Collectionからほぼ自動的にビルドして作られるアプリケーションパッケージだ。PC-BSD向けにカスタマイズされており、ユーザは提供されているPBIをダウンロードしてきてダブルクリックするだけでインストールできる。削除も簡単だ。デスクトップとして使うということだけに注力するのであればPC-BSDのPBIは魅力的なパッケージシステムといえる。

    PC-BSD 1.5では新機能以外に、amd64版のディストリビューションが用意された点が注目される。プロプライエタリアプリケーションやデバイスドライバがi386向けに提供されているため、依然としてデスクトップユースではi386版を使うユーザが大半だ。しかしamd64を採用するユーザも増えており、今回のamd64対応はそうした状況を考慮したものといえる。FreeBSDカーネルでの対応が必要になるが、将来的にはそういった問題に対処しamd64版のNVIDIAドライバも提供されることになるとみられる。

    最新版のPC-BSD 1.5は従来通りの6.x系シリーズということで6系の最新版であるFreeBSD 6.3をベースとしている。X.Org 7.3それにKDE 3.5.8をベースとするなどコンポーネントとしては比較的古い。FreeBSD 7.0がリリースされたこともあり、FreeBSD 7.0と現在移植が進められているKDE 4.xをベースとした新しいバージョンの登場が望まれる。開発者であるKris Moore氏は時期は明示しなかったものの、2008年夏ごろにFreeBSD 7ベースのPC-BSDをリリースするかもしれないという旨を説明した。

    PC-BSD 1.5のデモンストレーションをするMatt Olander氏。料理番組のようなノリでサクサクと紹介

    PC-BSDと同様にFreeBSDとKDEをベースにして開発されたデスクトップシステムにDesktopBSDがある。DesktopBSDは主にドイツで開発が進められているシステムで、よりKDEの機能をベースとしたデスクトップを提供している。どちらもよく似た機能を提供している。機能的な面で比較した場合、PBIを提供していることがPC-BSDの大きな特徴といえそうだ。PBIでは最新版のみならず古いバージョンもサーバに保持されるようになったため、問題があった場合には以前のバージョンに簡単に差し戻せるようになったことにも注目したい。

    同氏はPC-BSDを実際に導入してバグを報告してほしいとした。日本語への翻訳であったりドキュメントの整備であったり、開発しなくてもPC-BSDを支援する方法はあるとし、積極的な参加を呼びかけた。

    PC-BSDは登場当時から完成度が高かったが、最近のアップグレードで各種ツールやインストーラがより扱いやすいものへと進歩している。Flash9を組み込んだWindows FirefoxをWineで動作させるPBIが用意されているなどアドバンストアプリケーションも多く、FreeBSDを手っ取り早く体験してみたいノービスユーザにもお薦めできるプロダクトだ。特にFreeBSD 7がベースになるとみられる次期バージョンには注目しておきたい。UbuntuやopenSuSEといったディストリビューションを使っている場合、一度PC-BSDも検討対象に加えてみるといいだろう。

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