一般ユーザに人気が高いのは、幅広い分野のコンテンツを収録した「総合」モデル。カシオの電子辞書には「XD-SP6600」と「XD-GP6900」の2つの総合モデルがある。実はこの2つは中身がちょっと違っているという。どこがどう違うのか、実際に使い比べてその違いを徹底検証してみよう。

見やすいXD-GP6900、コンパクトなXD-SP6600

まず両方の電子辞書を並べてみて分かるのがその大きさの違いだ。それぞれの辞書を見ているだけでは違いが実感できないが、並べてみるとXD-GP6900のほうがひと回りほど大きい。そのため液晶画面もXD-SP6600の5.0型(横107.2mm×縦66.0mm)に対して、5.5型(横119.9mm×縦73.1mm)と大きくなっており、文字も大きく表示される。

XD-GP6900、XD-SP6600大きさ比較
XD-SP6600(左)とひと回り大きなXD-GP6900(右)

またキーボードのキーサイズもXD-GP6900が若干大きく、押しやすくなっている。パソコンのキーボード打った後など、XD-SP6600のキーを叩くと小さいと感じるが、XD-GP6900は不足を感じず、スムーズにキータッチできた。大きさは少ししか変らないが、実際に操作した印象はそれ以上に感じる。ただパソコンのように文書を長い時間入力するわけではないので、キーが多少小さくても使い勝手が大きく変わるわけではない。

一方、持ち運びにはXD-SP6600がちょうどいい。ポケットやポーチにも入る大きさなので、いろいろなスタイル、シーンで利用できそうだ。XD-GP6900はデスクサイドに置いて使うか、ビジネスバッグに入れて持ち歩くのに向いている。外見ではこの部分が両モデルの一番の違いと言えるだろう。そのほか手書きパネルの大きさ、や操作ボタンの配置・大きさには違いは全くなかった。

XD-SP6600キーボード部 XD-GP6900キーボード部
両機種のキーボード部分。ボタン配置など、操作に関しては共通だ

国語系・英語系におけるコンテンツの違い

XD-SP6600とXD-GP6900。両機種とも用途に応じてコンテンツを追加することができるコンテンツ追加機能や、衝撃を軽減する堅牢設計「TAFCOT」など、基本となる機能における差は見られない。収録されているコンテンツは同じ「総合」モデルなので、一見似た構成になっているが、詳しく見ていくと違いがわかってくる。次はその違いについて調べていこう。

国語系では、XD-SP6600は広辞苑の第六版を収録しているが、XD-GP6900は広辞苑ではなく精選版 日本国語大辞典、デジタル大辞泉、日本語大シソーラスなどが収録されている。広辞苑は収録数24万項目に加え図版が約2,800点収録された百科事典を兼ねた国語辞典だが、これに対する精選版 日本国語大辞典は30万項目、30万用例、図版3,000点を収録した国語辞典の最高峰。さらにデジタル大辞泉は約23万項目の国語辞典、日本語大シソーラスは約32万項目を収めた類語辞典だ。

XD-SP6600国語系分野画面 XD-GP6900国語系分野画面
XD-SP6600(左)とXD-GP6900(右)の国語系メニュー。同じ分野でも収録コンテンツには違いが見られる

たとえば広辞苑と日本国語大辞典で「顔を貸す」という慣用句を引いてみると、広辞苑は「頼まれて人に会ったり人前に出たりする」と解説されているが、日本国語大辞典では(1)他人から頼まれて人に会ったり、人の面前に出たりする。つき合う(2)借金などを信用で猶予してやる、とあり、その出典まで記されている。

このように日本国語大辞典は現代ではあまり使われなくなった意味なども含めて収録し、より詳しい内容が記載されている。またデジタル大辞泉では、(1)の意味の他、「顔を貸す」の例文として「ちょっと~してくれ」も掲載されている。XD-GP6900ではここまで詳しく調べられる。

そのほかXD-GP6900には生活分野に、日本語知識辞典、日本語「語源」辞典、日本語○×辞典、敬語早わかり辞典、言葉の作法辞典、全国放言一覧辞典など、日本語を深く追求するためのコンテンツがずらっと並んでいる

また英語系では、XD-SP6600にはジーニアス英和辞典が、XD-GP6900にはジーニアスに加え、ランダムハウス英和大辞典も収録されている。ジーニアスが9万6,000語約250図を収録した英和辞典なのに対して、ランダムハウスは34万5,000語約2,300図が収録された英和大辞典。たとえばProductを引いてみると、ジーニアスでは「製品、生産物、産出物」と書かれているが、ランダムハウスでは近い意味であるProduceとの違いについても解説している。

その他の分野でもコンテンツに違い

トラベルの分野では、XD-SP6600は、わがまま歩き旅行会話シリーズの7ヶ国語(英語/ドイツ語/フランス語/スペイン語/イタリア語/韓国語/中国語)が収録されている。一方XD-GP6900には、ひとり歩きの旅行会話シリーズの11ヶ国語(英語/ドイツ語/フランス語/スペイン語/イタリア語/韓国語/中国語/タイ語/ロシア語/ブラジル・ポルトガル語/フィリピン語)が収録されている。XD-SP6600の7ヶ国語で日本からの主な旅行先はカバーされているが、タイ語・ロシア語・ポルトガル語・フィリピン語が必要な方はXD-GP6900を選択するべきだろう。

日本史事典は両機種に収録されており、たとえば「足利義維」という知る人ぞ知る人物について簡単な説明は掲載されているが、XD-GP6900だけに収録されている日本歴史大事典では「足利義維」についてかなり詳しく知ることができる。XD-GP6900は、より専門的な知識を得たい方に向いている、といえるかもしれない。

XD-SP6600健康分野画面 XD-GP6900英語系分野画面
XD-SP6600の健康分野メニュー。イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科はペット愛好家には心強いコンテンツだ XD-GP6900の英語系メニュー。学習からビジネスまで幅広く活用できる

一方XD-SP6600には手紙文例集、スピーチ文例集などより実生活に寄った、役立つコンテンツが目立つ。たとえばXD-SP6600にしかない、イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科、そして初心者にとって心強い、パソコンで困ったときに開く本、パソコン・インターネット用語辞典など便利なコンテンツが並ぶ。さらに見たい映画をすぐ探せる、シネマコレクション。そのほか、漢検プチドリル2級、3級。脳鍛アプリ 明鏡日本語クロスワード、脳鍛アプリ おとなの常識Q&A200、脳鍛アプリ 英単語リスニングクロスワード、脳鍛アプリ 明鏡日本語クイズなど、最近流行の日本語クイズ、脳トレ系のコンテンツも充実しており、より身近なコンテンツが充実したXD-SP6600なら、電子辞書と楽しくつき合えそうだ。