3月25日、東京ドームにて行われた「'08 リコーMLB 開幕戦」の第1戦。2007年のワールドシリーズ王者であるボストン・レッドソックスとオークランド・アスレチックスによるこの試合は、先発投手に松坂大輔が登板、さらに試合終盤には岡島秀樹が登場して勝利投手の座を手にし、球場を埋め尽くした多くの日本人ファンを喜ばせた。延長の末、大事な初戦を勝利したレッドソックスは、ワールドシリーズ連覇に向けて幸先の良いスタートを切ったと言える。

そして、ボストンのフェンウェイ・パークやその他の米国内のアウェイでも常にチームに帯同するITシステムが、この日本で行われた開幕戦においてもレッドソックス側のベンチに置かれていた。EMCのネットワークストレージ「Celerra NS20」をベースにしたビデオシステムである。レッドソックスの選手たちは試合中、このシステムを使って相手や自分のプレーをリアルタイムで確認し、すぐに次のプレーに活かすのが習慣となっているという。レッドソックスのIT担当ディレクター スティーブ・コンリー氏は「選手がバットをもたずにバッターボックスに入ることがないように、レッドソックスの選手がEMCの情報インストラクチャをもたずに遠征することはない」と言い切る。

同じボストンを本拠地とするレッドソックスとEMCは、これまで長い蜜月関係を築いてきた。膨大なビデオライブラリをつねに必要とする同チームにとって、ストレージベンダの世界最大手であるEMCはまさにぴったりのパートナーと言えるだろう。選手やコーチなどはITに詳しくない者も多い。そういった人々でも、任意の画像をすぐに検索できるソリューションを、いつでもどこでも提供する必要がある。EMCのシステムはレッドソックスの厳しい要求に十分に応えてきた。今開幕戦において、同チームとしては初めてとなるスポンサーロゴの入ったユニフォームを選手が着用したのも、そういった信頼関係の表れだろう。

3月25日に行われた開幕戦では松坂大輔が先発、終盤、岡島秀樹が登場して勝利投手となり、東京ドームにあつまったファンを喜ばせた。このときレッドソックスの選手たちは、EMCのロゴ入りユニフォームを着用していた

だが、いくら膨大な動画像が常に必要とは言っても、レッドソックスの場合も他の企業と同じく、すべてのデータが「活性データ」(頻繁に利用するデータ)であるわけではない。何年かに一度、ごく数人が見るだけの「非活性データ」(ほとんどアクセスされないデータ)も相当の割合で存在するはずだ。そういった非活性データはアーカイブ化されるのが一般的だが、ユーザの立場でいえば、たとえ滅多にアクセスすることがないデータでも、必要なときにどこにあるかわからない場所に格納されては困るのだ。毎日更新をかけるデータであろうが、数年に一度しか閲覧されないデータであろうが、そういう意味では"平等"でなければならない。

だが、すべてのデータを本当に平等に扱ってしまえば、それこそストレージの容量がいくらあっても足りないことになる。そこで登場するのが"ストレージ仮想化"という概念だ。