enNetforumは、2007年5月にEGM-WG(Employee Generated Media WG)を設置、NEC、NTT、NTTデータ、日立、富士通、ジョンソン・エンド・ジョンなどの先進企業の社内SNS/ブログ関係者が集まり、運用上の課題やノウハウなどについてディスカッションを行ってきた。EGMとは、社員が作る企業内メディアを指す。3月11日、WGで話し合ってきたことや導入実例をもとに、EGM内での課題の解決法や、現場でどのようなイノベーションが起こっているのかについてセミナーが行われた。

本質はツールではなく人、蓄積されるのは情報

日本電気 企業ソリューション企画本部兼サービスプラットフォーム研究所 福岡秀幸氏

基調プレゼンは、日本電気 企業ソリューション企画本部兼サービスプラットフォーム研究所の福岡秀幸氏が務めた。まず、ジェームズ・スロウィッキー著『みんなの意見は案外正しい』を例に挙げ、一人の専門家よりも群衆の意見の方が正しいという「群衆の叡知」について言及した。そして、梅田望夫著『ウェブ進化論』より、次の10年は、最重要キーワード「群衆の叡知」というスロウィッキー仮説を巡ってネット上での試行錯誤が活発に行われる時代であり、ブログ/SNSはその未来を垣間見せるきっかけとなった初期の道具であるとした。

また同氏は、「企業内でも『群衆の叡知』を活用しようという動きは起きており、クローズドなネットワーク上でも、条件がそろえばインターネット上と同じことができる。同じ会社でもそのために必要な多様性・独立性・分散性は満たせるはずだが、大企業では独立性は満たせていないために旧来は実現できていなかった」と指摘。そこに個人の独立性を生かしたEGMが現れたとした。

「群衆の叡智」をテーマにした2冊のベストセラー

「群衆の叡智」を社内に活かすためのEGM

成功例のひとつとして、同氏の所属するNECグループによる15万人が誰でも閲覧可能な社内SNS「イノベーションカフェ」をあげた。閲覧者数は現在1万7,000名、投稿者数は2,200名に上る。2004年9月スタートし、ユーザー参加型の運営が行われている。ボトムアップで開始し、クチコミで広がったという。

「社員主導で企業内にイノベーションを起こすためには、社員が主役となった自由なコミュニケーションができることが必須」と福岡氏は主張する。自由にコミュニケーションできるためには、社内の組織の壁を越えられるようにすることや、多くの社員が自発的な情報発信を行うことが大事となるため、社内SNS、ブログ、RSS、Wikiなど、企業内Web2.0の試行錯誤が行われている最中だという。

また、「よく、どんなツールを使っているのかと聞かれるが、本質は人。蓄積されるのは情報。重要なのはツールではなく、それを使って『何をするか』『何ができるか』」だと同氏はまとめた。